コーチングの導入事例

真の「人財の現地化」とは?~関わりを変える、組織が変わる~(前編)

私たちコーチ・エィは「ある局面に向き合ったとき、自らもその状態の一部だと捉え、自ら行動を始める人」を「リーダー」と呼び、日本国内だけでなくアジア・オセアニア地域においても、「変化する未来を共創するリーダーをつくる」ことをミッションに、企業様の組織変革をご支援しています。

そして、タイ・ASEANにおいて最も多く寄せられる組織変革テーマは、なんといっても「人財の現地化」になります。

そこで今回から2回に亘って、真の「人財の現地化」とは何かについて、私たちの考察をご紹介したいと思います。


皆さんは、「組織変革」と聞くとどんなことをイメージしますか?  戦略や会社の方向性の大きな転換でしょうか。抜本的な仕組みや制度の変更を試みることでしょうか。あるいは、そのような変革を実行できる「人」の開発でしょうか。

「変革せよ、変革が迫られる前に」

「最も強いものが生き残るのではない。最も変化に敏感なものが生き残る」

前者はジャック・ウェルチ、後者はチャールズ・ダーウィンの言葉です。

組織は常に、環境や状況の変化に合わせて変わり続ける必要があると言えます。組織は常に「工事中」であり、マネジメントの本質は「変化」であると言っても過言ではないかもしれません。

真の「人財の現地化」は目的ではなくプロセスとして現れる

「人財の現地化」を進める際、そこに向けた促進要因と環境を整備すると同時に、阻害要因を排除していくことは重要です。しかし、最も大切なことは、現地スタッフ本人たちがその気になることです。

皆さんは、どのように社員をその気にさせていますか?また、何に対して、その気にさせたいのでしょうか?

「現地化して!」「主体的になって!」「やる気を出して!」と伝え続けたところで、本当にそうなる人はいるでしょうか。

私たちが考える真の「人財の現地化」とは、会社が必要としている変化に対する現地社員の主体化(意識・行動改革)であって、目指したい組織の変革に向けて現地スタッフを含めた社員全員の主体化を促していくプロセスにおいて、人財の現地化が起きると考えます。

例えば、今までは日本のやり方を教え、愚直に頑張る社員の行動を奨励していた会社が、これからは日本人も気付けない現地のニーズを探索し、そこに合わせたビジネスの創出に繋がる行動を奨励したい、と考えたとします。

しかし、いきなりそう言われたからといって、明日から「はい、そうします」とは動けないわけです。

私たちは関わりの中に生きており関わりが私をつくる、という考え方

例えば、新入社員のS君がAという会社に入ると、いずれは「A社っぽい人」になっていきます。同じS君が、B社に入ったら、「B社っぽい人」になるでしょう。  それは、それぞれの会社・組織にある暗黙のルールや前提、ルーティンに基づいた考え方や行動を社員が取っており、それに基づいた関わりを周囲がS君にしているからです。

どの組織にも「前提」や「ルーティン」が存在します。前提とは、当たり前のように組織の中に存在している捉え方です。ルーティンとは、前提をベースに生まれる反応的な行動パターンです。

例えば「上司の言うことが絶対である」という前提が流れている組織があるとしましょう。そうすると社員は、「上司の考えに合わせた行動をとる」というルーティンを持つようになります。

また、「仕事とは新しいものを生み出すことだ」という前提があれば、日々「新しいこととは何だろうか」という問いに基づいたルーティンになるでしょう。 これらの前提やルーティンは日々の関わり、コミュニケーションによって支えられ、維持されています。組織の活動のほとんどは、日々のコミュニケーションによって成り立っているとも言えます。

従って、コミュニケーションが変わらなければルーティンは変わらず、組織に流れる前提に気付くこともなく、組織の状態も変わりません。

逆に言えば、日々の関わり、コミュニケーションを変えていくことによって、人も組織の状態も変えていける、とも言えます。

主体化したリーダーの数が組織変革の決め手

組織変革は一人から始まるかもしれませんが、一人で起こせるわけではありません。その変革に対し、主体化したリーダーが組織の至る所に物理的に増えていく、それによって変化がムーブメントとなり「組織変革」へと進むわけです。皆さんの会社のリーダーは、何に向かって、どのような行動をとっているでしょうか?  Kotter International社のマネージング・ディレクターを務めるジャスティン・ワッサーマン氏は、2014年にCLO(最高学習責任者)向けに次のような記事を書きました。

「21世紀のこの世界で、企業が育てるべき最も重要なリーダーシップ・ケイパビリティとは、最低でも社員の50%が並はずれた危機感を持って外に向いていて、情け容赦なく成功にターゲットを定めていて、毎日前進することを決めている状態を創ることのできる能力である」※1

理想論のように聞こえるかもしれませんが、仮にこれを「リーダーシップ・ケイパビリティ」と定義するならば、私たち自身のリーダーとしての能力は、日頃とは違った見方ができるのではないでしょうか。

コミュニケーションの 「再デザイン」という考え方

さて、ここまでいくつかの視点を紹介してきました。

どんな組織にも「前提」と「ルーティン」が存在し、それらは日々のコミュニケーション、関わりによって支えられ、維持されていること。組織活動のほとんどはコミュニケーションによって成り立っていること。そして、そもそものコミュニケーションが変わらなければ、人も組織も変わらないこと。

これらの考え方を基に当社では「システミック・コーチング™」という組織変革モデルをご提供しています。

「システミック」とは染み出る、染み渡る、という意味があります。クライアント企業様と共に創りたい組織変革とは、環境や状況の変化に合わせて既存のルーティンをこれから求めたい新たなルーティンに変えていく。そのために、周囲からの関わり(コミュニケーション)を再デザインする。その変化に向けて、周囲への関わりを変えていこうとする主体化したリーダーの数を増やし、その個と個が繋がっていく。そんな組織変革です。

人財の現地化のテーマに照らし合わせると、会社の目指している変化にいざなうプロセスの中で、主体化したリーダーが生まれる、ここに真の現地化が起きる、と言えるのではないでしょうか。

次回はデータなども交えながら、具体的事例をご紹介していきます。

※1 Wasserman, J., 2014, With Leadership Development for All, Chief Learning Officer – CLO Media

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株式会社コーチ・エィ
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388 Exchange Tower, 25th Floor, Unit no.2504-1, Sukhumvit Road, Klongtoey, Klongtoey, Bangkok 10110

https://www.coacha.com/

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