イベントレポート

コロナを生き抜くタイ事業のM&Aセミナー【事後レポート】

厳しい企業環境下で何をどう決断すべきか

タイは近年の経済成長鈍化に加えて、今年はコロナ禍に見舞われ、企業を取り巻く環境は大きく変化している。そのような状況の中で企業に求められる“決断”とは何か。

12月3日にオンラインセミナー「今こそ決断時期!コロナを生き抜くタイ事業のM&Aセミナー」が行われ、厳しい経営環境下の事業戦略についてM&Aを中心として解説された。多数の視聴者が参加し、関心の高さが伺われた。

事業環境の変化で求められる経営判断

低迷子会社が本社に影響及ぼす可能性も

まず、CFO機能の提供を通した企業支援を特色とする日本のコンサルタント会社エスネットワークスのタイ法人、エスネットワークス(タイランド)の奥村宙己ダイレクターは「業績低迷時のM&A実務」について解説。奥村ダイレクターはタイでのM&A件数や日系企業によるASEANへのM&A件数のデータを紹介しながら近年のタイの事業環境について説明した上で、迅速な経営判断が求められる中において意思決定をしないことで企業存続が危ぶまれる時代となっていると指摘した。

さらに、業績が低迷した子会社の売却判断が遅れたため、親子ローンで多額の貸し付けをしてきた親会社の事業継続にも影響を与えた事例を紹介。そのような子会社の売却の際、買収側との金額交渉が厳しくなるとも語った。

また、子会社売却における実務のスケジュールやその工程ごとの留意点なども説いた。

中国・台湾企業 進出加速の見込み

競争激化で高まる 「備え」の重要性

続いて、タイにおいて90万㎡以上の事業用不動産の取引実績を持つGDM(タイランド)の高尾博紀社長は「不動産の市場価値算定の重要性」について解説。

高尾社長はまず日本と中国のタイへの投資金額や就業許可証(ワークパミット)の保有者数の推移を比較しながら最近の中国企業の進出の勢いに触れると、実際に同社がチョンブリ県に保有する物件(工場)への中国・台湾企業からの問い合わせの多さや業種の幅広さから、タイ政府が外国人の入国規制を緩和次第、その進出が加速すると予想した。

また、実際に台湾企業と取引した経験から、彼らの決断の速さにまつわるエピソードも紹介。

そして今後のタイでの競争の激化などを見越して「備え」が重要とし、資産価値の査定や資源の配分先の見直しを提案した。中国・台湾企業の進出が多数見込まれるこの先1年、2年が資産の売り時とも付け加えた。

その後、視聴者との質疑応答も行われ、中国企業によるM&Aなどに関して質問が寄せられ、奥村ダイレクターらが丁寧に回答した。

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