明日を創る人事制度

第9回 従業員満足度と人材の定着

明日を創る人事制度 Written by みらいコンサルティンググループ

人事評価をする「目」を持つ

 優秀な従業員が定着するための人事制度を検討する際、従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)、即ち従業員が会社の何に共感し、何を不満に感じているのかを知ることはとても重要です。なぜなら、優秀な人材は従業員満足度の高い組織においてこそ主体的に成長し、大きな活躍をもたらすからです。そこで今回は、従業員満足度について考えていきます。

従業員満足度とは?

 従業員満足度は給与や福利厚生、職場環境や社内の人間関係への満足度を測る指標ですが、従業員の会社への帰属意識を測るものとしても近年その重要性が注目されています。

 一般に、従業員満足度の高い会社ほど、従業員のパフォーマンスは高く、会社への貢献度も高くなることが判っています。このような組織では、従業員同士のコミュニケーションも活発に行われており、良好な人間関係の下、人材の定着にも繋がっています。

 優秀な人材の定着はさらなる優秀な人材の獲得をもたらす好循環が生まれます。つまり、「いかに従業員満足度の高い組織を作るか」は、人材の定着を考える上で重要なポイントとなります。

従業員満足度を高める人事制度

 従業員満足度を左右する要素の1つが、人事評価が適正に行われているかです。

 タイ人社員が人事評価に不満を感じる主な理由には、「評価が評価者によって異なり不公平」「評価基準が不明確」「評価結果についてのフィードバックがない」といったものがあります。もちろん評価は高い方が良いですが、それ以上に評価結果がどのような根拠で決定されたのかを伝えることは、従業員の満足度に大きく影響します。

 何をすれば今後の成長に繋がるか、従業員のキャリアを一緒に考えることも、タイ人社員との信頼関係を築く上で重要な要素となります。人事評価が、従業員の自己成長とキャリア支援に繋がるよう、制度の運用を心掛けるようにしましょう。

コア人材を定着させるために

 優秀なタイ人社員ほど、会社がどのようなビジョンを持っているのか、組織で自分はどのようなキャリアを積めるかにも注目しています。

 会社がコア人材と考える従業員にこそ、会社のビジョンや会社がどのような期待をしているかを示し、互いの成長のために一緒に何ができるかを相談しましょう。そうすることでコア人材の責任意識を促し、会社への帰属意識を高めることができます。また、個人のキャリアプランを一緒に考えることは、会社への信頼を勝ち取る有効な方法でもあります。

 給与や福利厚生などの金銭的処遇も大切な要素ですが、コア人材を定着させるためには、会社がタイ人社員を信頼していることを示し、また個人の成長に寄り添うことが何より効果的です。従業員の定着を考える際は、まずは彼らが今何を感じ、何を期待しているのか、耳を傾けてみてはいかがでしょうか?

 みらいコンサルティングおよびFDIグループでは、貴社の従業員満足度の調査、およびそれをどのように高めるのかについてのご相談も承っています。

寄稿者プロフィール
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  • みらいコンサルティンググループ
    ASEAN統括部長
    金井 健一(Kenichi Kanai)

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  • みらいコンサルティンググループ
    代表取締役
    岡田 烈司(Atsushi Okada)

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