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コロナと社長 社外との交流減る

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トップの仕事も変わる オンライン活用で工夫

オンライン会議をするテルモの佐藤社長

オンライン会議をするテルモの佐藤社長
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、大企業のオフィスを中心に在宅勤務やテレワークが定着しつつあるが、働き方の変化は従業員にとどまらない。コロナ禍は企業トップの仕事にも影響を与えている。社外や社内のコミュニケーションで試行錯誤しながら、新たな働き方をそれぞれが模索している。
企業トップの重要な仕事の一つが社外ネットワークの構築だが、コロナ禍で社外との交流機会が「格段に減っている」(グンゼの広地厚社長)のが現状だ。テイ・エステックの保田真成社長も「対面で人と会う数は圧倒的に減った」。それでも人に会う時は「公共交通機関はほとんど乗らなくなったので、名古屋には本社の埼玉県から車で行っている」。コロナ禍は企業トップの移動手段も変えた。
SCREENホールディングスの広江敏朗社長最高経営責任者(CEO)が「電話やオンライン会議など代替手段を最大限活用している」と話すように、企業トップの交流手段も従業員と同じでオンラインが有効だ。  JR西日本の長谷川一明社長も対面での会食や会合は控えている。週2日はテレワーク勤務。リモートで役員会議を開き、官庁など外部との意見・情報交換もオンラインで定期的に実施している。
ただ画面越しでは相手の表情が読み取りにくいとの声は多い。テルモの佐藤慎次郎社長は「表情や身ぶり・手ぶりも意識して、意図が正しく伝わるように工夫している」。  大日本住友製薬は米製薬大手ファイザーとがんや婦人科領域の新薬開発などで提携した。野村博社長はファイザーのトップと遠隔で面談した。「隙間時間を活用し、人に会いやすくなった」とオンラインの効用を話す。「感染が収束すれば、こうした経験が役立つ時が来る」とコロナ禍を前向きに捉える。
コロナ下で社長に就いた人の苦労はひときわだ。大阪ガスの藤原正隆社長は1月1日に就任。「1月は6日から中旬にかけ、東京方面の役所を中心に、取引先に新任と新年のあいさつをするつもりが、すべてキャンセルになった」と語る。ただキャンセル案件はオンライン会議を使って多くをカバーしたという。
仕事以外では週末のゴルフも変わった。マルカの竹下敏章社長は「回数が半減以上した上に、(休憩を挟まず18ホールを一気にまわる)『スループレー』も多い。プレー後の会食もない」と嘆く。それでもゴルフは密を避けられるスポーツとして注目されており、コロナ禍でも勤しむトップは結構いる。
※記事提供:日刊工業新聞(2021年2月1日)

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