ArayZオリジナル特集

スキルは現地で身につける 新興アジアビジネスの学び方

日経ビジネススクール 東南アジア初となる、ビジネスセミナー・シリーズをバンコクで開催

サシン日本センターと日経がコラボレーション〈対談〉座学だけでは得られない、リアルなアジア経営

arayz oct 2015

日本で35年にわたり開催されている『日経ビジネススクール』が、この秋バンコクにやってくる。日本人ビジネスパーソン向けに新興アジアビジネスの動向、戦略立案、労務管理などをテーマに各種セミナーが予定されているなか、注目はアジア有数のビジネススクール・サシン経営管理大学院との提携講座だ。

今井 日本企業の間では国際的に活躍できる人材をどう育成するかが大きな課題となっ
ています。一方、日経読者にはキャリア志向が高く、自己研鑽してステップアップしてい
こうという若いビジネスパーソンが多くいらっしゃる。もっと体系的に経営学というもの
を学びたい、MBAの基礎を学べるコースがあればというニーズの高まりを受けて、早稲田大学、一橋大学のビジネススクールと3年前に始めた共同講座が好評で、他の大学・企業との共同講座も含めると、今までで述べ2万5000人が学びました。今年は11の大学・企業と27講座を日本で予定しています。

藤岡 学生集めに苦戦する日本のビジネススクールが多いなか、2万5000人はすご
いですね。学びたい人のニーズがないのではなく、既存の大学の仕組みが、そのニーズ
をしっかりと掴めていないという側面もある(善し悪しではなく提供する価値が異な
る)かと思います。カリキュラム然り、隙間のニーズをうまくマッチさせているのが日経
ビジネススクールです。

今井 東南アジアで活躍されている日本人ビジネスパーソンには学習意欲の高い方が多
く、現地でも学ぶ機会を求めています。そこで東南アジアならではの講座と、東京で提
供してきた日経ビジネススクールの講座を組み合わせたセミナーを、バンコクで開催す
ることにしました。全体で4日間のうち2日間は新興アジアビジネスの動向や現地での
戦略立案について、サシン経営管理大学院の講師陣に集中講義していただきます。同時
に、日本経済新聞社が永年培ってきた、日経ビジネススクールのプログラムをそっくり
バンコクに持ってきます。今回は特に「人」絡みのテーマを厳選して提供します。

藤岡 ビジネススクールでは「国際経営」や「グローバル経営」といった科目はあります
が、人材育成に関しては、海外のビジネススクールでは「グローバル」を脱して、人材をローカルに育てるというレベルからさらに深く踏み込んだ教育をしています。新興アジア
のビジネスでは、多様性を尊重し、アジア各国特有の文脈を理解した上でのグローバル化への対応を進めていかなくてはなりません。

これまでの10年間とこれからの10年間で、アジアの意味合いは変わってくる

藤岡 これまで、アジアはモノを安く作って欧米や日本へ迂回輸出させる拠点でしたが、
飛躍的な経済成長率、GDP成長率で世界におけるプレゼンスが高まり、〝アジア進出〞
の意味合いが変わってきました。日本市場が縮小し、アジアの中間層がハイスピードで成
長したことで、日本企業のアジアにおける売上比率が増加、生産拠点としての重要性に加
え、利益創出拠点としての意味合いを持つようになってきています。現地で売るためには現地ニーズの把握が必要で、この正解は日本やロンドン、ニューヨークのオフィスで考えていても出てこないと思います。
設立当初、サシンは米国の最先端の理論を学ぶため、教員の100%が米国から来ていましたが、今はシンガポールや香港などアジアからの教員比率が40%まで増えました。
ローカライズ科目でも、アセアンのことは現地の先生に聞きたいというビジネスパーソ
ンの声が増えています。

今井 今回の講座はアジアでのビジネスに携わる方々にとって、アジアの代表的なビジ
ネススクールとして30年以上の歴史を持つサシン経営管理大学院の知見、アドバイスが
得られる貴重な機会となるはずです。
2日間の短期集中型講義で、日本人ビジネスパーソンはどのようなことが学べるでしょ
うか。

藤岡 そうですね、まず日本とは異なる文脈での多様な議論が体験できるのではないか
と思います。新興国では考えている以上にスピーディに、ダイナミックな変化が日々起こ
っています。在住の方は普段から疑問に感じていたこと、日本からの方はバンコクの街
中を歩いて感じたことなどがあれば、サシンの講師へ投げかけてみてください。そして、
アグレッシヴな欧米型議論を経験してきた講師陣が、アサーシヴなアジア型にアレンジ
した、タイ流の議論を楽しんでください。タイと日本では似ているところもありますが、
同じアジアでもすべての国が同じではなくて、その多様性は近づくことで見えてきます。
正解の方程式を学ぶのではなく、適切な問いの立て方、異文化での議論の作法を身につけることの重要性について感じていただきたいと思っています。

日本で議論していても、アジアの正解は分からない

藤岡 今回のセミナーでは、アジアでのビジネスについて興味を持たれている方々を幅広く募集しています。いつもはご自身の周りのことで手一杯という方も、業界を超え、それぞれのケースや問題意識を持つ方々がひとつのクラスに集まりディスカッションをすることで、ご自身の抱えている問題が特殊なのか普遍なものであるのかを整理し、理解する良い場となるはずです。
また11月24、25日のサシンセッションと並んで、26日にも新興アジアと共に成長していくための価値づくり、パートナーシップのあり方などについてコンパクトにお話する予
定です。特にこの講座はサシンと日経さんとのコラボレーション開設記念セミナーとして特別に抽選で無料ご招待させていただきます。

今井 一人一人抱えている問題は違っても、それらを共有し、議論することで、違った角
度から解決方法を見つけられるようになるのでしょうね。
新たな気づき、ひらめきが生まれ、これまで見てきたものごとを再定義する機会になりそうです。
日経ビジネススクールからは人気講師による労務管理の基本からストレスマネジメント、コーチング、ワールドカフェまで、駐在員の皆様が現場ですぐに使える、ヒューマンス
キルに関する講座を揃えました。これらの講座を習得いただければ、対人的な課題への
対応力の基礎がしっかり養われ、状況に合わせてさまざまなスキルで対応できるように
なるでしょう。
さらには、日経ならではのAECの今後の見通しについての講座もご用意しています。
JETRO(日本貿易振興機構)の専門家と日経新聞のアジアでの編集責任者が、6億人巨大市場の攻略法について語ります。
普段、スキルアップしたいと思っていても忙しくてなかなかそのきっかけをつかめない駐在員の方々に、是非、この機会にサシン経営管理大学院の素晴らしい学習環境で有意義な体験をしに、足をお運びいただければと思います。

arayz oct 2015

Profile

藤岡資正 (右)
チュラロンコン大学サシン経営管理大学院
サシン日本センター 所長
英国オックスフォード大学サイード経営管理大学院博士課程修了(経営哲学博士)。米国ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院客員研究員、名古屋商科大学院客員教授、早稲田ビジネススクール客員准教授、上場日系企業数社のアドバイザーを兼任。姫路市観光大使、タイ王国文化省芸術局顧問。

今井秀和 (左)
株式会社日本経済新聞社
常務執行役員 兼 日経グループアジア本社 社長
早稲田大学商学部卒業。1981 年日本経済新聞社入社。日本、欧州、米州で広告営業を担当。2014年から現職。

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