AIが世界にもたらす未来  英字紙がフォーラム開催

 

 タイ字紙「ポストトゥデイ」などを発行するバンコクポストグループは5月31日、人口知能(AI)に関するフォーラム「Deep Think: How AI will change the World」を開催した。グーグル、マイクロソフト、ラザダ、AISといった情報通信技術や電子商取引などで最先端を行く企業の代表が登壇し、AIが今後、世界にもたらす未来について意見を交換した。

   地図検索や翻訳などで他社の追従を許さないグーグル・アジア太平洋地域でAIおよびデータバリューを担当するルーチ氏は、「研究室から企業へのAIの民主化が次のステップ。企業がもっと容易にデータにアクセスできる環境を作ることが大事」と述べ、大学はこの成長産業で活躍できる人材を育成するために、データサイエンスの教育に力をいれるべきと提案した。

 AIに精通する人材が不足するタイについて、戦略系コンサルタント大手マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートーナー、セイプ氏は、課題の特定と解決に必要な技術的スキルを持つ、データサイエンティストや専門家の育成・訓練を働きかけた。また、データサイエンティストと顧客を仲介する従業員を「翻訳者」として再訓練することを企業に促した。

 グーグルとフェイスブックでデータサイエンティストなどを歴任し、Skooldio共同創設者のウィロット氏は、企業が環境を変革するためには、基本的なデータを理解している「翻訳者」が必要とセイプ氏に同意した。

 タイ人工知能協会の会長でタマサート大学講師のタナルック氏は、AI開発で最大の障害は技術的な専門知識の欠如であると述べた。限定的な技術のみを持つ労働者は、ロボットに置き換えられる危険性があり、 「将来の労働力は、複雑な問題解決のスキル、批判的思考、そして新しいテクノロジーや新しい働き方に追いつくための創造性を身につける必要があるでしょう」と警鐘を鳴らした。  中国では高校レベルでAIが教えられているが、タイでは人工知能とコンピュータ工学の学位を取得できる大学はわずかしかないと述べた。

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