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タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

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MU Research and Consultingコラム

企業トップに聞くアフターコロナの経営変革【警備業界】

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      新型コロナウイルスの問題に加えて、タイは国内市場の成熟や少子高齢化など様々な変化を迎えている。企業のトップはそれらをどう捉え、対処しようとしているのか。各分野の企業トップの展望を三菱UFJリサーチ&コンサルティングの池上氏が聞く。

      Thai Secom Security Co., Ltd.

      1987年にタイの大手財閥サハグループとの合弁企業として設立され、機械警備及び常駐警備を中心に事業を展開する総合セキュリティ企業。現在、従業員は2,000名を超え、北はチェンライから南はソンクラーまでタイ各地に50の事業所を構える。

      Thai Secom Security Co.,Ltd.
      87/2 14th Floor, CRC Tower, All Seasons Place, Wireless Road, Lumpinee, Phatumwan, Bangkok 10330
      Tel:02-685-3996(日本人専用)
      E-mail:secomth_ias@secom.co.th

      サハグループとの合弁設立の経緯は?

      今年、日本経済新聞の連載「私の履歴書」に、サハグループのブンヤシット会長が登場され、弊社との合弁設立のきっかけについても触れてくださいました(7月26日付参照)。

      消費財が主のサハグループにあって、当時、警備事業は新しい分野でした。

      弊社創業者で社長の飯田(現最高顧問)は〝滑走路が長いビジネスですが、一たび飛び立てば順調に飛行します〟と、飛行機の操縦が趣味のブンヤシット会長に説明したそうです。つまり短期間で収益化できる事業ではないと認識したうえで、ブンヤシット会長からお声がけいただき合弁設立に至りました。

      パートナーがサハグループというタイでの信用に加えて、長期的な目線でサポートを続けていただいたことが、安定して事業を拡大できた最大の要因だと思います。

      サハグループは日系企業と多くの合弁会社を手掛けていることもあり、以前はブンヤシット会長が毎年日本にお越しになられていました。合弁先への挨拶回りをされ、弊社の飯田とも面談されていました。コロナ禍で2年程お目に掛かれていませんが、連載を機に現社長の尾関との手紙の交換が行われ、飯田も間接的にコミュニケーションを取らせていただいています。

      セキュリティに関するタイ市場の特徴とは?

      東南アジアの生活水準が上がるにつれて、人々の考え方も大きく変化しています。

      特に新しい技術、デジタルへの受容性が非常に高く、徐々に機械化が進んでいった日本とはセキュリティに対するニーズが異なります。

      タイでは警備スタッフを派遣する従来型の常駐警備と言われるサービスや、監視カメラやオートロックなどの機械だけが単独で動いているだけであってもセキュリティと呼び、多くの方がそれで十分だと思っています。

      日本や欧米におけるセキュリティとは、それらが相互連携したサービスであると認識されていますが、当地ではまだまだその概念は浸透していません。

      したがって従来の常駐型警備のマーケットや機器売りのマーケットが大きく、私共のような機械警備までを手掛けている事業者は多くありません。

      また、タイでは機械警備が順を追って発展するというよりは、そこに行き着く前に急速なITの技術革新が見られ、またスマートフォンが急速に普及したことなども我々のビジネスモデルへの理解に対する影響も一定程度あると考えています。

      例えば、今はスマートフォンなどで事務所や工場に設置された監視カメラの映像が見られます。そのため、まるで十分に監視がなされているかのように認識されがちです。ただ実際には、そこにたくさんの落とし穴があります。

      セキュリティの更新などをユーザー側が自覚をもって行わないと、新しい商品でも興味本位やいたずら目的でハッキングをされてしまう可能性があります。

      先日も某大手メーカーの製品に脆弱性が発見され、セキュリティファイルが配布されました。しかし、多くの人は脆弱性が見つかったことすら気づかないかもしれません。

      このように、適切なサービスレベルの維持がユーザー側の意識に委ねられているケースがたくさんあります。

      だからこそ、正しいセキュリティに関する啓蒙活動を進めて、現状のままでは不十分であることに気付いていただければ、私共の拡大する余地はまだ非常に大きいと思っています。

      今後の事業展開に向けた展望は?

      これまでは、大きな災害や社会的混乱に際して一時的に退避して業務継続を図り、正常化時には速やかに従来の状態に戻すことが多くの会社が考えていたBCP(事業継続計画)だったと思います。

      それが今回のコロナ禍により、終わりが見えない状態で継続しなければいけない状況に直面しました。BCPの形が大きく変化したと感じています。

      また、従来はセキュリティそのものをお客様にしっかりと届けることに強くフォーカスしてきました。しかし最近は、スマートフォンなど情報通信機器の発達に伴い、お客様が様々な利便性を身近に感じられる環境が整ってきました。

      その中で、セキュリティだけのサービスではお客様に受け入れられにくくなっています。つまり、システムを導入することで、セキュリティだけでなくビジネスにもプラスの効果が求められるようになってきました。

      例えば、来店しているお客様の人数が分かったり、責任者が遠隔でスタッフの活動状況を把握できるなど、いわゆる人がいなくなった夜の時間帯だけを守るセキュリティではなく、そのシステムを通してビジネスに関する様々な情報が知りたいと思っている方々の比率が増えています。そこで私共も昨年12月から、ビジネスサポートもできる商品を導入しています。

      これからタイで少子化、高齢化が進むこともあり、〝高齢者見守り〟のニーズも高まっていくと見込まれます。日本でも見守りのサービスにおいて、弊社は一定の支持をいただいています。

      既にタイでもスタートアップ企業をはじめ様々な取り組みが進んでいますが、日本式の見守りをうまくアレンジしてタイに導入することも、今後の商品展開の中では十分あり得ます。

      コロナ禍でも地方都市で新しいショッピングモールの建設が相次いでいます。これまでも私共は大規模施設向けの警備システムを手掛けてきましたが、さらに競争力を高めてSMEや個人のお客様から大型施設にいたるまで、セコムの特色でもある人、機械、情報が適切に統合されたサービスを提供していきたいと思います。

      経営者として心掛けていることとは?

      タイの現地法人ですので、タイのマーケットに合わせてビジネス展開をする必要があります。

      日本では警備業法によって警備会社の提供するサービスが詳細に規定されていますが、タイにはそこまで細かいルールがありません。そのため、日本のルールに沿って作られたメニューをそのままタイに移管しようとすると、お客様のニーズとマッチしない部分が出てきます。タイに合った〝ベストミックス〟を作る必要があります。

      マーケットに合わせる最善の方法は現地化です。そのための組織づくりも含めて、最も重要なテーマとして認識しています。

      もう一つは判断についてです。正しい情報に基づいて、そして一部ではなく多面的に事実を積み上げて判断することが大切だと常に心掛けています。

      警備会社はお客様から見れば、皆が同じ考え方、同じ姿勢で安定したサービスを提供することが信頼感を生むという、安定と信頼感が表裏一体の関係にあります。ところが、安定は一歩間違えると安住に変わり、安住は思考停止に繋がりかねません。その悪循環に陥らないように気を付けなければなりません。

      時代と共に様々な事実は変わります。だからこそ、正しい事実、多面的な事実に基づいて、安定の中にもしっかりと変化を生むことが非常に大切だと考えています。


      タイのセキュリティサービス業界動向

      By MU Research and Consulting (Thailand)Co., Ltd.

      タイでは相対的に低水準の人件費を背景に、依然として有人での警備が主流となっている。また、「セキュリティの可視性」が優先される傾向もあり、ドアマンや駐車場警備員などが配置される傾向にある。

      一方で、CCTVやIPカメラ等のデバイスの普及も近年急速に進んでいる。特にバンコクエリアでは鉄道網の整備や空港の拡張が続き、アクセス制御ドアやCCTVなどの導入が急速に進んだ。今後は機器導入だけでなく、人と機械が連携し総合的に警備体制を管理するオペレーションノウハウや省人化による機械警備(機器類に備わるセンサーなどによる検知で人だけに頼らずに行う警備)へのシフトも進むと考えられる。

      今後の市場の拡大要因は、セキュリティ要件の向上や、スマートシティ・スマートホーム分野でのセキュリティ技術導入、アプリケーションの拡張などが挙げられる。セキュリティ要件の向上については、2016年の警備法施行が挙げられる。例えば警備員については、18歳以上のタイ国籍、認定訓練などの一定の条件のもとによるライセンス付与を義務付けた。違反時の雇用主に対する罰則等も設けたものであり、事業者側に一定の条件を課したものとなった。

      業界の大手主要プレーヤーは、日系ではThai Secomのほか地場系のGuts Investigation、外資系の英国のPCSやG4Sなどが挙げられる。その他セキュリティ製品関連では、地場系のHIP Globalなどで、直近では従来のCCTV製品や指紋スキャナーに加えて、コロナ対応製品としてフェイススキャン体温計、消毒機付き体温計などを提供している点も近年の傾向として挙げられる。

      業界の大手主要プレーヤー

      PCS Security and Facility Services Co., Ltd.(英)

      総合施設管理事業の一環として有人警備、遠隔監視、駐車場管理などのサービスを提供。 近年は、清掃ロボットなどテクノロジーへの投資も行っている

      G4S Security Services (Thailand) Co., Ltd.(英)

      有人警備がメイン事業。その他、受付係や運転手、メンテナンススタッフ等の総合施設管理サービスやCCTV、火災警報器等のセキュリティ製品も販売

      Guts Investigation Security Guard Co., Ltd.(泰)

      有人警備がメイン事業。グループ会社が、セキュリティ専門学校、電子保険システム等を展開。直近は、COVID19 の抗原検査キットやSNSでのワクチン予約サービスを提供

      Thai Secom Security Co., Ltd.(日)

      セキュリティ製品をパッケージ等で幅広く提供可能。機械と人が連携したセキュリティサービス、中小企業向けスマートセキュリティ、24時間ホームセキュリティシステム等も特徴

      Guardforce Security (Thailand) Co., Ltd.(香港)

      有人警備がメイン事業で、その他CCTV制御室オペレータサービス、航空保安サービス、小売り用ビデオ解析等も提供。近年はパトロールロボット、清掃ロボット等にも取組む


      三菱UFJリサート&コンサルティング

      MU Research and Consulting(Thailand)Co., Ltd.

      Tel:+66(0)92-247-2436
      E-mail:kazuki.ikegami@murc.jp(池上)

      【事業概要】 タイおよび周辺諸国におけるコンサルティング、リサーチ事業等

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