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時事通信 特派員リポート

【シンガポール】「夜の街」消滅か=厳格措置でコロナ抑制(シンガポール支局 新井 佳文)

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    シンガポールでは緻密で厳格な新型コロナウイルス対策が効果を上げ、感染がほぼ抑制された。それでも政府は手綱を緩めておらず、マスク着用や集会制限、在宅勤務推奨など基本的な予防策を治療薬・ワクチンが世界的に普及するまで「おそらく1年以上」に亘って維持する構え。クラスター(感染者集団)の火種となりかねないキャバクラなど「ナイトライフ(夜の街)」産業の多くは廃業に追い込まれそうだ。

    集会制限違反なら国外追放

    国内では4月以降、外国人労働者用のドミトリー(相部屋の宿舎)で感染が広がり、人口570万人の島国で、連日1000人を超える感染者が出た。政府は6月にかけて外出制限や職場閉鎖などの都市封鎖(ロックダウン)を断行。マスク着用も義務化し、違反すると初回で300シンガポールドル(約2万3400円)の罰金を科す仕組みを取り入れた。

    人の集まりも人数を制限。現行は5人まで。コロナ対策の暫定措置法に違反したと認定されると、初犯で最大で罰金1万ドルと禁錮6ヵ月を科される可能性がある。自粛を呼び掛けるだけの日本とは対照的で、法律により執拗(しつよう)なまでに取り締まる。

    シンガポールはもともと、ガムの持ち込みやごみのポイ捨てにも罰金を科しており、「Fine Country」と形容される。「美しい国」だけれど、管理好きな「罰金大国だ」と皮肉る言葉だ。徹底した取り締まりは強権国家のお家芸で、その持ち味がコロナ対策でも遺憾なく発揮された。

    集会制限などで外国人も次々と検挙されており、罰金を科された上にビザを剥奪されて国外へ追放されるケースが相次ぐ。外国人だと二重に処罰される。

    来店客にコロナ検査

    政府は3月から、「カラオケラウンジ」などと呼ばれるキャバクラや、ダンスフロアを備えたクラブ、バーなどナイトライフ業界の営業を禁じてきた。密閉空間に密集するため「感染リスクが高い」と考えたからだ。12月以降、営業再開を一部認めるものの、ハードルは極めて高い。

    歌ったり踊ったりする際もマスク着用が義務。ほかの公共スペースと同様、入場の際にはオンラインで入場記録を残す必要がある。極め付きはコロナ検査だ。店側の負担で、来店客に事前に感染検査を受けてもらわなければならない。

    現地紙によると業界からは、手間や検査費負担を考えると営業再開は「現実的でない」との悲鳴が上がっている。対応可能なのは、人気クラブ「ズーク」の運営会社など大手くらいだろう。

    接待を伴う飲食店の業界団体は指針として、「店員による接待はなし」との方針まで打ち出した。もはやキャバクラやスナックの体を成していない。政府は存続の難しさを重々承知しており、転業なら最大5万ドル、廃業なら3万ドルを事業者に補助する制度を導入した。やんわりと廃業を促すのが狙いのようだ。

    一連の厳格な対策が奏功し、11月中の国内感染者は合計で10人程度にとどまった。在住する日本人からは「緻密な対策でシンガポールではコロナが抑制された。無策に見える日本に帰るのが怖い」との声も漏れる。

    ※この記事は時事通信社の提供によるものです(2020年12月10日)

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