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時事通信 特派員リポート

【ベトナム】3%迫るプラス成長で底堅さ= 投資、世界経済の先行きなどには不安も(ハノイ支局 北川 勝弘)

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      2020年のベトナムの経済は3%に迫る成長率となった。新型コロナウイルスの影響で10年ぶりの低成長だったが、世界各国・地域の多くがマイナス成長に沈む中で、「数少ないプラス成長国の一つ」(グエン・スアン・フック首相)となり、ベトナム経済の底堅さが際立つ形となった。21年は6.5%成長を目標に掲げており、新型コロナに伴う景気の下振れリスクを警戒しつつ、成長の加速を目指す。

      一時は0.39%まで急減速

      新型コロナがベトナムで初めて確認されたのは20年1月下旬。ベトナムの初動は早く、早期に新型コロナの震源地となった中国からの入国受け入れを停止したほか、矢継ぎ早に水際措置を強化した。

      3月には外国人の入国を原則停止し、国際線フライトも休止させた。4月には、全国規模で不要不急の外出禁止を含めた厳重な感染防止策を展開。感染防止策を守らない市民には罰金を科した。

      厳重な措置が講じられた4月の3週間には日系企業などが工場を休止させたり、飲食店、娯楽施設などが休業になったりし、街から人影がなくなる時期もあった。

      こうした厳格な対応は感染の拡大を防いだが、経済活動には大きな打撃となり、4月~6月期の成長率が0.39%に減速した。前年の10月~12月期は7%に迫る高い成長率だったが、それから半年で急ブレーキがかかった格好だ。

      公共工事の執行加速

      ただ、全国規模で厳重な措置が取られたのは4月の3週間のみ。ベトナム政府は「感染拡大の抑止」と「経済再生」という二律背反になりかねない課題に挑み、感染を局所に封じ込めつつ、経済の持ち直しを目指した。

      10月~12月期に4.48%まで回復した要因の一つは、公共投資の加速と言える。フック首相は政府の会議などで、たびたび「公共投資の執行を加速させる必要がある」と訴えた。

      この結果、公共事業を含めた資本形成(設備投資)は年間で4・12%伸びた。モノやサービスの輸出も米国向けを中心に4.97%拡大した。個人消費も底堅さを維持し、1.06%増えた。

      経済の持ち直しを一定程度実現したベトナムだが、新型コロナウイルスは依然、さまざまな業界などへ根深い影響を及ぼしている。

      政府主導による公共投資は順調に伸びたものの、株式取得などを含めた外国企業による直接投資は大きく落ち込んだ。20年の外国直接投資額は前年の4分の3の水準にとどまった。

      国際線フライトの運休が続く影響で、20年にベトナムを訪れた外国人は約4分の1に減少した。宿泊・飲食サービスの売上高は13%落ち込み、旅行サービスは59.5%の大幅減となった。

      世界各地で新型コロナウイルスの変異種が見つかるなど複雑な流行が続いており、当面は外国人観光客を期待できず、21年も綱渡りの状況を強いられる。

      新型コロナウイルスで世界経済が一段と冷え込めば、ベトナムの輸出にも影響が生じ、国内の生産活動にも余波が及びかねない。

      ベトナム共産党は1月25日から5年に1度の党大会を開き、次期指導部を選出する。現在は党大会を目前に控え、次期体制をめぐるさまざまな観測が飛び交う。

      どのような体制になろうとも、次期指導部は世界的に不透明感が払拭できない情勢下で、前途多難な船出を強いられることになりそうだ。

      ※この記事は時事通信社の提供によるものです(2021年1月14日)

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