当ウェブサイトでは、サイトの利便性向上を目的に、クッキーを使用しております。 詳細はクッキーポリシーをご覧ください
また、サイト利用を継続することにより、クッキーの使用に同意するものとします。

タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

ArayZロゴマーク

ミャンマーの最新ビジネス法務

ミャンマーからの撤退手続き

  • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

    メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
    PDFのリンクを送信いたします。

メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

    入力いただいたメールアドレス宛に、次回配信分からArayZ定期ニュースレターを自動でお送りいたします(解除可能)。個人情報の取り扱いについてはこちら

    はじめに

    新型コロナウイルスの影響により、現在もミャンマーへの国際線旅客機の着陸禁止措置が継続している。また、2月1日にクーデターが発生して政治的な問題も生じている。そのため、組織再編や一旦撤退して再起を期すなどを目的とした清算に関する依頼も増加している。そこで今回はミャンマーにおける撤退手続きについて解説する。

    撤退手続きの概要

    ミャンマーでは撤退手続きとして、大きく分けると以下の3つの手段が存在する。

    ①会社法に基づく清算手続き
    ②倒産法に基づく倒産手続き
    ③株式譲渡手続き

    ②に関して、倒産法は2020年3月25日に施行されたものの、現時点では実際の運用は行われておらず、実務上の選択肢とはなり得ない。

    従って、現実的選択肢としては①または③となるが、時間や費用の観点からは③が望ましく、③が難しい場合に①の手続きを行うこととなる。

    会社法に基づく清算手続き

    現地法人の任意清算手続き

    会社法上、大きく分けると株主または債権者による任意清算と裁判所が関与する強制清算の2種類が存在する。

    撤退する場合、実務上は多くの外国会社が強制清算ではなく、任意清算によって撤退するため、本稿では任意清算についてのみ解説する。任意清算の際の前提として清算が開始された場合、会社は清算開始時点から清算にとって有益となる場合を除き、事業を中止する必要がある。

    会社法上の現地法人の任意清算の流れは以下の通りである。


    (1) 清算のための取締役会を開催
    (2) 取締役による弁済能力宣誓書の作成、及び当該宣誓を支持する取締役による宣誓供述書の作成
    (3) Directorate of Investment and Company Administration(以下、DICA)のMyanmar Companies Online (以下、MyCO)で任意清算を支持する弁済能力宣誓書(J-4Form)を提出
    (4) 清算のための特別決議を行うための株主総会を開催する。この際、1人またはそれ以上の清算人を任命する。会社法上は清算人として任命すべき者について規定はないものの、弁護士が清算人となることが実務上一般的
    (5) MyCOで清算人の任命通知書(J-7Form)を提出
    (6) 清算のための特別株主総会を開催
    (7) 日刊新聞または官報に清算のための特別決議を公告
    (8) 最終株主総会の招集通知を開催日の少なくとも28日以上前に官報または日刊新聞に、総会の時期、場所及び目的を記して公表
    (9) 最終株主総会を開催
    (10) 最終株主総会の日から7日以内に、MyCOで当該株主総会の開催通知(J-5A Form)を提出する。その際に、清算人の当該清算の実施方法及び会社財産の処分方法について示す清算手続の記録の写し、納税証明書を添付


    実務上は、特に会社の納税証明書の取得に非常に時間を要することから、当該書類の取得については早めに着手する必要がある。

    海外法人の清算手続き

    会社法上の海外法人(支店)の清算は現地法人の場合と比較すると簡単で、基本的には所定のフォームを提出するのみとなる。もっとも、将来における税務トラブルを避けるため、当局への提出は不要であるものの、実務上は海外法人であっても納税証明書を取得することが多い。

    株式譲渡による撤退

    会社法に基づく清算手続き以外の撤退方法としては、現地法人の買い手が見つかる場合には株式譲渡による撤退もあり得る。株式譲渡契約書はMyCOとの関係では不要であるが、株式譲渡後の対象会社の権利義務関係や株式譲渡の対価などで紛争が生じるのを避けるため、実務上は株式譲渡契約書を作成の上締結することが一般的である。

    寄稿者プロフィール
    • 堤 雄史 プロフィール写真
    • TNY国際法律事務所共同代表弁護士
      堤 雄史(つつみ ゆうじ)

      東京大学法科大学院卒。2012年よりミャンマーに駐在し、駐在期間が最も長い弁護士である。TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.代表であり、グループ事務所としてタイ(TNY Legal Co., Ltd.)、マレーシア(TNY Consulting (Malaysia)SDN.BHD.)、イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co., Ltd.)、日本(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所)、メキシコ(TNY LEGAL MEXICO CO LTD)が存在する。タイ法、ミャンマー法、マレーシア法、日本法、メキシコ法及びイスラエル法関連の法律業務 (契約書の作成、労務、紛争解決、M&A等)を取り扱っている。

      Email:yujit@tny-legal.com
      Tel:+95(0)1-9255-201
      URL:http://tny-myanmar.com/
      URL:http://tnygroup.biz/

    \こちらも合わせて読みたい/

    第29回 DICAからの取締役に関する通知

    • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

      メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
      PDFのリンクを送信いたします。

    メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

      入力いただいたメールアドレス宛に、次回配信分からArayZ定期ニュースレターを自動でお送りいたします(解除可能)。個人情報の取り扱いについてはこちら

      人気記事

      1. Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
        Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
      2. ASEAN-EV市場の今〜タイ・インドネシアEV振興策および主要自動車メーカーの戦略〜
        ASEAN-EV市場の今〜タイ・インドネシアEV振興策および主要自動車メーカーの戦略〜
      3. 苦境が深まるVinFastの「一足跳び戦略」
        苦境が深まるVinFastの「一足跳び戦略」
      4. ASEAN自動車市場・タイ電動車動向
        ASEAN自動車市場・タイ電動車動向
      5. 中国NEV最大手BYDのタイ進出〜日系メーカーにとって黒船到来となるのか〜
        中国NEV最大手BYDのタイ進出〜日系メーカーにとって黒船到来となるのか〜
      6. 【シンガポール】シンガポール、生活費が世界一=大衆車で1500万円、駐在員もつらいよ
        【シンガポール】シンガポール、生活費が世界一=大衆車で1500万円、駐在員もつらいよ
      7. タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
        タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
      8. 分岐点に立つベトナムの国民車メーカー・ビンファスト
        分岐点に立つベトナムの国民車メーカー・ビンファスト
      9. ベトナムが入国ビザ緩和へ ― 他方、外国人の労働許可手続には課題
        ベトナムが入国ビザ緩和へ ― 他方、外国人の労働許可手続には課題

      広告枠、料金など詳しい情報は
専用ページをご覧ください。

      広告枠、料金など詳しい情報は
      専用ページをご覧ください。

      広告掲載についてページを見る

      お電話でのお問い合わせ+66-(0)2-392-3288

      タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌

      閉じる