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タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

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新たな視点で時代の動きを読み取る ASEAN経営戦略

Roland Berger

ニューノーマルにおける日系消費財企業の勝ち残り戦略とは

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    東南アジア諸国連合(ASEAN)における様々な業界の旬なトピックを、ドイツ発のコンサルティング会社ローランド・ベルガーが経営戦略的な観点から解説する。今回は日系消費財企業がニューノーマル(新常態)の東南アジアで勝ち残るための重要論点について。

    東南アジアは日系消費財企業にとって魅力的な市場であると長らく言われてきた。ただ、自動車産業における日系企業の当地でのプレゼンスと比較すると、消費財分野は欧米企業に押され続けてきた感は否めない。

    だが、コロナ禍によって東南アジアの消費者の購買行動やマインドセットは大きく変わった。パラダイムシフトにある今、日系消費財企業にとっては大きなチャンスだ。

    今回は、日系消費財企業がニューノーマル(新常態)の東南アジアで勝ち残るための重要論点を記したい。

    大手小売チャネルの戦略変化

    元々、東南アジアの消費財流通・小売市場については、歴史的にネスレやユニリーバ、ダノンといった欧州系企業が育ててきた背景があった。その背景があるゆえ、今でも当地での欧州系消費財企業の声は大きい。店頭での棚割りといった実務面でも、日系消費財企業が彼らに押されて苦戦するケースは多い。

    だが、その状況はコロナ禍で変わりつつある。食品や日用品において、Eコマースやオンラインデリバリーの浸透が進んだ。消費行動そのものが大きく変わる中、大手小売企業自体も戦略転換を余儀なくされている。

    例えば、タイでセブンイレブンは王道的な出店戦略を持ちながらも、デリバリーや自販機などの新たな戦略も模索している。当然ながら消費財企業もキーアカウントである大手小売企業の戦略を正しく把握し、営業戦略の転換を図らなければならない。

    伝統的小売との向き合い方

    コロナ禍以前から当地での伝統的小売(パパママショップ)の数は減少傾向にある。その減少速度はニューノーマルの中で加速している。また、伝統的小売の役割自体も変わると言われている。例えば、Eコマース配送のピックアップ拠点として伝統的小売を活用する取り組みもその一つだ。

    いずれにしても、消費財企業にとって伝統的小売チャネル戦略の見直しは今が好機と言えるだろう。属人的営業の中、あり得ない低収益で行ってきた取引も多いはずだ。KPI(重要業績指標)を明確化し、透明性を高めた上でのリストラが必要となる。自社内の営業体制もあるべきボリュームへとスリム化すべきである。

    感情的な側面が強いゆえ、これまでは思い切った改革ができなかったかもしれない。だが、今こそメスを入れる最後のチャンスと捉え断行すべきだろう。

    中間流通の再構築

    伝統的小売で語った内容は、ほぼ同じことが中間流通でも言える。

    過去来の属人的な付き合いで、複雑化、多層化した中間流通構造を抱える消費財企業は多い。結果、メーカー出荷以降、自分達の商品がどこを流れて、どこでどういった消費者に売られたのかがブラックボックスになっている。

    伝統的小売同様、中間流通業者によっては極端な低収益取引に陥っているものがあったり、中間流通業者間のテリトリー重複によって値引き合戦が行われていたりもする。

    それらブラックボックスを「見える化」し、是正するチャンスはやはり今だろう。隆盛しているB2Bオンラインプラットフォームといったデジタルの力で効率化できる余地も探るべきだ。

    オムニチャネルの確立

    最後になったが、最も重要とも言えるべき論点はオムニチャネルである。

    消費財企業にとって最も大事な存在が消費者であることは間違いない。その消費者の消費行動がコロナ禍でEコマースやデリバリーに大きく移行した。

    消費者の動向を定量的に分析し、どのようなセグメントに対してどんな商品を、オンライン・オフラインでどれくらいの割合で展開するかを研究する。

    オンラインチャネルについては、既存のEコマースプラットフォームに乗るべきか、自社メディアを持つべきか、ソーシャルメディアを活用すべきか。そして、オンラインとオフラインの繋ぎ(O2O)をどう造り込んでいくか。

    「とりあえずEコマース」という短絡的な視点ではなく、総合的にポートフォリオをどう組むかを検討するべきだ。お飾り的なEコマースでは、期待効果を得ることは難しい。さらには販売面だけでなく、流通コストを合理化するといった観点での検証も必要だ。

    特に東南アジアは、伝統的小売に掛かる営業費用は相対的に高い。そこをオンラインチャネルによって低減できる余地があるため、コストの検証もすべきだ。  ニューノーマルの東南アジアで日系消費財企業が取り組むべき課題は多く、かつそれぞれが複雑に絡み合っているゆえ解決の難易度は高い。

    だが、まさに変化を迎える今が逆転のチャンスだということを忘れずに、本腰を入れた変革を期待したい。

    寄稿者プロフィール
    • 下村 健一 プロフィール写真
    • Roland Berger下村 健一

      一橋大学卒業後、米国系コンサルティングファーム等を経て、現在は欧州最大の戦略系コンサルティングファームであるローランド・ベルガーのアジアジャパンデスク統括に在籍(バンコク在住)。ASEAN全域で、消費財、小売・流通、自動車、商社、PEファンド等を中心に、グローバル戦略、ポートフォリオ戦略、M&A、デジタライゼーション、企業再生等、幅広いテーマでの支援に従事している。

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