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タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

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多様な観点から経営学を説く経営学の可能性

サシン経営大学院日本センター 藤岡資正所長コラム

経営学と不況

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    新型コロナウイルス感染症や世界の政情不安によって、企業経営を取り巻く環境は不確実性を増しています。

    私の専門の一つである管理会計という分野は、不況の学問であるとも言われます。企業経営が順調な時には、顧みられることが少ないのですが、逆風に晒された時にその重要性が認識されることになります。

    これは人間も同じで、健康な時には健康診断やその管理の重要性についてあまり関心が向かないかもしれませんが、体調を崩した時に改めてその重要性に気がつくのです。日々の生活においても、ものごとが上手くいかないことや大きな試練に直面した時に、改めて自分自身と向き合う機会が生まれると同時に、周りの人々との関わり合いの大切さに気がつくものです。

    好況よし、 不況さらによし

    かつて松下幸之助は「好況よし、不況さらによし」と話していたと言われますが、逆風に立ち向かう姿勢やその経験こそが企業組織や個人を強くしていくのだと思います。

    企業や人生の歴史を一本の竹に例えるとするならば、困難な状況や逆風に立ち向かい、それらを克服していくことで「節」が形成されていき、節の存在によってしなやかで強い竹へと成長していきます。企業も人も同じで、不況知らずで追い風のなか順調に成長しているだけでは、節が十分に形成されることなく、変化や逆境に対して脆弱になってしまいます。

    特に企業経営では、逆境に直面した際に他律的に現在の環境に責任を転嫁させるのではなく、自律的に環境を創造し、厳しい環境のなかで自らの成長に不可欠な「節」を作り上げ、むしろ逆境を栄養素として成長するという意識が大切なのです。

    「節目」を経験することで、私たちはさまざまな関係性のなかで生かされているという意識が芽生え、それによって感謝の気持ちや他者への配慮ができる強い1本の竹(自身)が形作られていくのではないでしょうか。

    経営戦略とは環境適応ですが、これは環境を客観的に分析して受動的に対応するだけではなく、自らの意思で主観的かつ能動的に環境自体を創造していくというプロセスを含む実践なのです。

    ゼロ成長期こそ、社員一人ひとりの 仕事の内容を大きくしていかなくてはならず、 あらゆる組織には常時、 挑戦すべき目標が必要である

    “マネジメントの父”と称された経営学者のピーター・ドラッカー氏は著書『実践する経営者』のなかで、「ゼロ成長期こそ、社員一人ひとりの仕事の内容を大きくしていかなくてはならず、あらゆる組織には常時、挑戦すべき目標が必要である」と述べています。

    不況のために量的な成長の余地は限られていたとしても、質的な成長は向上できるはずです。質的な成長ができないのであれば、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の生産性を向上させることで事業の質を改善し、集中すべき領域に特化することで、不況期であっても逆風によって飛び立つことができるはずです。

    「成長の機会の扉は、不況期にあっても閉ざされてはいない。機会はそれに値する者にのみ扉を叩く」のです。

    寄稿者プロフィール
    • 藤岡資正プロフィール写真
    • チュラロンコン大学
      サシン(Sasin)経営大学院日本センター所長
      明治大学専門職大学院教授

    • 藤岡 資正 Professor Takamasa Fujioka, PhD.

      英オックスフォード大学より経営哲学博士・経営学修士(会計学優等)。チュラロンコン大学サシン経営大学院エグゼクティブ・ディレクター兼MBA専攻長、ケロッグ経営大学院客員研究員などを経て現職。NUCBビジネススクール、早稲田ビジネススクール客員教授。神姫バス(株)社外取締役、アジア市場経済学会理事、富山文化財団監事などを兼任。
      撮影:石田直之

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