当ウェブサイトでは、サイトの利便性向上を目的に、クッキーを使用しております。 詳細はクッキーポリシーをご覧ください
また、サイト利用を継続することにより、クッキーの使用に同意するものとします。

タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

ArayZロゴマーク

多様な観点から経営学を説く経営学の可能性

サシン経営大学院日本センター 藤岡資正所長コラム

経営学と持続可能な社会

  • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

    メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
    PDFのリンクを送信いたします。

メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

    入力いただいたメールアドレス宛に、次回配信分からArayZ定期ニュースレターを自動でお送りいたします(解除可能)。個人情報の取り扱いについてはこちら

    生物の遺伝子は、自己の遺伝子を残すためにあらゆる手段を駆使して生き残りを図ります。コロナウイルスも同様に次々と寄生先を変えていき、爆発的に増殖しながら、遂には宿主の命さえも奪ってしまいます。そう聞くとなんとも恐ろしいことのようですが、ふと考えてみると、私たち人間も地球という宿主に寄生をしながら爆発的に人口を増殖させ、これまでにない速度で資源を消費し地球環境を破壊してきました。

    今から半世紀以上も前の1970年に世界の有識者が集まり設立されたローマクラブは、72年に『成長の限界』というレポートを提出し、「人口増加や環境汚染などの傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」と指摘しました。この成長の限界に関する警告はよく知られているのですが、実は、同組織はリーマンショック後にも報告書を出しており、そのなかで「地球上の人々が現在の米国と同じ水準で生活をしたとするならば、地球は5つ必要である」と指摘しました。

    近年の地球環境問題や世界情勢を鑑みると、こうした半世紀以上も前の警告を改めて受け止める時がきていることが分かります。資本はウイルスとは異なりますが、放っておくと自己増殖をしていきます。しかも、資本効率が悪くなると他の宿主に寄生先を移しながら増殖をしていきます。ウイルスが宿主が死滅する前に次の宿主に移っていくように、資本もより効率的な企業や資本家に次々と乗り換えていくのです。こうした資本の自己増殖性は、私たちに豊かさをもたらすと同時に、貧富の格差などさまざまな問題を顕在化させることにもなります。

    世界の富裕層上位8名が世界の下から半分と同額の資産を有しているといわれ、世界の上位1%の富裕層が世界の個人資産の4割近くを占めているそうです。資本はコロナ禍や世界情勢の悪化などの危機に便乗することでも利潤を得ようとします。こうした状態を、カナダ人ジャーナリストのナオミ・クラインは、「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」と呼びました。本来は、「目的達成のため」の手段であったはずの資本の魔力は凄まじく、その魔力によっていまや人間が資本の奴隷となってしまっているようにもみえます。

    ウイルスは、動物や植物の細胞といった宿主(ホスト)に寄生することなくして存在し続けることはできないため、あまりにも強毒なウイルスは、やがて自らの宿主を死に追い込み消滅する運命にあります。同じように、人間は地球というホストなくして生きていくことはできません。経営においても、物質的効率性のみの追求ではなく、宿主である地球に配慮した持続可能な社会の構築へ向けた取り組みが急務となっています。

    寄稿者プロフィール
    • 藤岡資正プロフィール写真
    • チュラロンコン大学
      サシン(Sasin)経営大学院日本センター所長
      明治大学専門職大学院教授

    • 藤岡 資正 Professor Takamasa Fujioka, PhD.

      英オックスフォード大学より経営哲学博士・経営学修士(会計学優等)。チュラロンコン大学サシン経営大学院エグゼクティブ・ディレクター兼MBA専攻長、ケロッグ経営大学院客員研究員などを経て現職。NUCBビジネススクール、早稲田ビジネススクール客員教授。神姫バス(株)社外取締役、アジア市場経済学会理事、富山文化財団監事などを兼任。
      撮影:石田直之

    • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

      メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
      PDFのリンクを送信いたします。

    メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

      入力いただいたメールアドレス宛に、次回配信分からArayZ定期ニュースレターを自動でお送りいたします(解除可能)。個人情報の取り扱いについてはこちら

      人気記事

      1. タイのBOIの新たな投資奨励措置について
        タイのBOIの新たな投資奨励措置について
      2. タイ財閥最新動向-変貌を遂げるアジアのコングロマリット
        タイ財閥最新動向-変貌を遂げるアジアのコングロマリット
      3. Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
        Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
      4. 「経営学の可能性」セミナー【価値共創経営 〜理論と実際〜】セミナーレポートPHOTO
        「経営学の可能性」セミナー【価値共創経営 〜理論と実際〜】セミナーレポートPHOTO
      5. モーターエキスポ2022にみる中国系BYDの躍進
        モーターエキスポ2022にみる中国系BYDの躍進
      6. タイで始める投資信託
        タイで始める投資信託
      7. 競争から協調・協働、そして価値共創へ
        競争から協調・協働、そして価値共創へ
      8. タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
        タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
      9. タイの新たな電気自動車(EV)奨励策
        タイの新たな電気自動車(EV)奨励策

      広告枠、料金など詳しい情報は
専用ページをご覧ください。

      広告枠、料金など詳しい情報は
      専用ページをご覧ください。

      広告掲載についてページを見る

      お電話でのお問い合わせ+66-2651-5655

      タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌

      閉じる