MU Research and Consultingコラム

企業トップに聞くアフターコロナの経営変革【二輪業界】

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アフターコロナの経営変革

新型コロナウイルスの問題に加えて、タイは国内市場の成熟や少子高齢化など様々な変化を迎えている。企業のトップはそれらをどう捉え、対処しようとしているのか。各分野の企業トップの展望を三菱UFJリサーチ&コンサルティングの池上氏が聞く。

Thai Yamaha Motor Co., Ltd. 野崎 達也

Thai Yamaha Motor Co., Ltd.

タイで二輪車の製造、販売を行う。1964年に合弁会社Siam Yamaha Co., Ltd.として設立され、95年に子会社化。その後、小型船外機、ゴルフカートの国内生産を開始し、二輪車ではホンダとともに市場をリードしている。2020年には無人ヘリによる農薬散布サービスを手掛ける合弁会社Siam Yamaha Motor Robotics Co., Ltd.を設立。

● HEAD OFFICE
64 Mu 1, Debaratana Road, Sisa Chorakhe Yai, Bang Sao Thong, Samut Prakan 10570

URL:https://www.yamaha-motor.co.th


今後の東南アジア、タイ市場の有望性とは?

東南アジアは弊社にとって非常に重要な地域です。製造拠点のハブとなっているインドネシアは市場の大きさや一層の成長という点でも期待されている他、フィリピンやベトナム、マレーシアも有望な市場です。

タイはヤマハ発動機が1964年に進出してから半世紀以上経つなど歴史も長く、ASEANをリードする国として二輪車についてもある程度成熟した市場と捉えています。  そういった意味では既に安定成長のフェーズに入っていると考えますが、一方で主力自動車メーカー各社がタイに拠点を持ち、部品のサプライヤーも含めて強固なネットワークが張られている点は周辺国を上回っていますので、私共にとってタイは部品調達の観点でも、引き続き非常に重要な国として捉えています。

また最近では、これまで大型のスポーツバイクなどに関心を持っていたお客様層が、機能性の高い高級スクーターを選ばれることが多くなっています。

弊社も「MAXシリーズ」をはじめ、プレミアムカテゴリーのスクーターラインナップを拡充させており、今後も販売を強化していきたいです。

新型コロナウイルスが二輪市場に与えた影響は?

昨年3月の非常事態宣言後、タイの二輪車市場は一時的に落ち込み、弊社も生産量を絞るなどの対応を取りましたが、その後市場は急速に回復していきました。

タイに限った話ではありませんが、二輪車は基本的に屋外で、少人数で乗るものです。そのため、比較的新型コロナウイルスの感染拡大には繋がりにくい、むしろ人々が他の公共交通機関を利用する場合に比べて感染抑制に寄与することができる移動手段とも考えられます。

また、非常事態宣言下でも各種デリバリーを支える移動手段として、活躍していることはご承知の通りです。

二輪車のほかにも弊社が取り扱っている製品は、コロナ禍にあって個人や家族が休暇を自宅や近場で過ごす〝ステイケーション〟に適したものが多く、旅行ができない代わりに、そういった製品の購入に繋がる傾向もあります。

例えば、アメリカでは弊社のボートや船外機の販売が伸びていますし、レジャー用の四輪バギーが好調です。

ただ困っているのは、海上輸送用のコンテナが足りなくなったことです。輸出入が滞ると、海外から部品が入ってこないため生産できません。そして、生産しても輸出できないという、入口も出口も閉ざされた状態になりました。

その後も自動車と同様に半導体の不足があったり、アメリカで発生した寒波によって樹脂部品の製造が止まるなど、サプライチェーンの問題をクリアしながら製品の供給を確保していかなければならず、今も影響は続いています。

現場ではコロナ禍にどのような対応を?

工場の生産ラインで働く直接部門はリモートで行うわけにはいきませんので、感染対策を敷いた上、政府が設けた規制の範囲内で勤務していますが、間接部門についてはリモートワーク(WFH)が7割を超えるように体制を組んでいます。

また、従業員のワクチン接種に関してもほぼ全員が2回目の接種を終えています。

コロナ対策を強化する全社方針の下、弊社の敷地内にある安全運転教習施設「ヤマハライディングアカデミー」は地元サムットプラカーン県内に4ヵ所あるワクチン集団接種会場の一つとして使用していただき、7月から10月まで自治体、病院と協力しながら、近隣の会社で働く従業員や住民の方向けのワクチン接種が行われました。

ワクチン接種会場として使用された「ヤマハライディングアカデミー」にて 受付に並ぶ人々

また、二輪車の販売現場ではオンライン化が加速しました。

これまで新製品の発表会は、会場に関係者らを大勢集めて行っていましたが、感染拡大防止のためそういったイベントができなくなり、ビデオ配信などの形でオンラインに切り替えました。

会場費などのコストを抑えることができるだけではなく、これまで現場に行けなかった方にも、インターネットにアクセスさえできれば、製品の特徴などを詳細にお知らせすることができ、より広く効率的にメッセージを届けられるようになりました。

販売店でもプロモーションの告知などに、積極的にオンラインメディアを活用するようになっており、お客様もまずオンラインで情報を探すのが当たり前になっています。

どこの販売店がどんなキャンペーンをしているかなどを調べ、その中で一番条件が良い販売店とまたオンラインで交渉。最後は購入した二輪車を取りに行かないといけませんが、そこまでのステップはかなりオンラインに置き換わってきています。今後も、この流れは進んでいくと思います。

電動化などCASEへの対応は?

世界で四輪車の電動化が進んでおり、二輪車に関しても電動化へのお客様の関心は高まっています。当然、ビジネスチャンスはあると見ていますが、現時点では色々難しさがあります。

二輪車は四輪車に比べると車体が小さく、バッテリーの搭載容量が限定されますが、生活の足として深く浸透しているタイでの使用用途をカバーしようとすると、かなり頻繁に充電しなければならず時間が掛かります。スワップ(交換)式にしてもステーションの整備が必要です。

ただ一方で、EVならではの魅力もあり、当面は現行タイプを主力としながら、製造コストの問題や性能面での課題など、一つずつクリアすることで、電動化に向けた準備を加速させていきます。

その他の「C」「A」「S」についても、もちろん取り組んでいきますが、例えばマリン業界ではかなり前からオートパイロットがありますし、タイのバイクタクシーなどもある種のSharedと言えますので、得意なエリアから商品別に柔軟に取り込んでいければと考えています。

例えば、タイでは今年からYコネクト(Yamaha Motorcycle Connect)という、アプリケーションを通してスマートフォンと二輪車が繋がるモデルを展開しました。スマートフォンの通知をメーターに表示したり、燃費管理がスマートフォンでできたり、双方向で様々な情報のやり取りができるようになっており、今後さらに対応モデルを広げていきたいと思っています。

また先日、日本で新型自動運転EVによる搬送サービスに関する発表を行いました。元々、ゴルフカートをベースにした低速自動運転車両の実証実験は各地で行ってきましたが、人手不足などの問題解消に向けて、工場や倉庫内の自動化はまさに求められている領域ですので、今後も進化を図っていきます。


タイの二輪業界動向

by MU Research and Consulting (Thailand)Co., Ltd.

タイ国内市場の推移

タイの2020年の登録済み二輪車は2,100万台を超え、アセアンではインドネシアの1億台、ベトナムの4,500万台に次ぐ市場となっている。高品質の生産基盤を有するタイは、世界の主要生産拠点としても位置付けられ、年間200万台レベルの生産能力は中国、ドイツ、日本、インドに次ぐ世界トップ5の重要な生産拠点に含まれている。

市場の趨勢は2021年1~7月実績で98万台、前年比114%と堅調に推移。二輪車は公共交通機関の代わりに身軽に利用できる乗り物であり、デリバリーなど二輪車による宅配需要の急激な拡大などもあり、昨年もコロナ禍による影響は相対的に軽微だった。

一方で国内市場はホンダ、ヤマハなどの日系ブランドが9割以上を占めるが、近年高所得層の増加による400cc以上の高級大型二輪の人気も高まっており、ドゥカティ(伊)、BMW(独)、トライアンフ(英)といった欧米系も参入し競争が活発となっている。

四輪車と同様、二輪車もタイ政府の電気自動車促進の対象となっており、23年から30年まで合計100万台の電動二輪車生産を目標とし、タイ投資委員会も一定期間法人税免税の恩典付与で国内外の企業の投資を促している点もビジネスチャンスとして考えられる。


三菱UFJリサート&コンサルティング

MU Research and Consulting(Thailand)Co., Ltd.

Tel:+66(0)92-247-2436
E-mail:kazuki.ikegami@murc.jp(池上)

【事業概要】 タイおよび周辺諸国におけるコンサルティング、リサーチ事業等

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