2015.04月号

カシコン銀行経済レポート

【連載】カシコン銀行によるタイ経済・月間レポート 2015年3月号

kasikorn

2015年1月のタイ経済情報

タイ中央銀行が発表した2015年1月の重要な経済指標によると、タイ経済の回復テンポは、依然として緩慢となっています。生産面を見ますと、農林・水産業の生産が増加した一方、製造業の生産は収縮しています。中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)の需要低迷で輸出も落ち込みました。また、観光業は 拡大基調が続いている一方、民間消費は前月から横ばいとなっています。企業は景気回復と政府部門のインフラ投資が明瞭化するのを見守っています。

タイ経済の回復テンポは緩慢傾向

・2015年1月の多くのタイ経済部門は前年同月と比べ減少しました。観光業の回復が改善したにもかかわらず、国内支出と輸出の回復が遅くなったため、タイの全体的な景気回復も遅くなる可能性があります。
・カシコンリサーチセンターでは、第1四半期のタイ経済成長について、観光業の回復傾向が明らかになってきたこと、および前年同期の政治デモの影響で比較ベースが低くなっていたことにより、前年同期比4.0%増になると予想します。2014年第4四半期の同2.3%増を上回ると見込まれます。
・2015年のタイの格安航空事業に関して、カシコンリサーチセンターは、国内線旅客数が継続的に拡大することから、さらに成長するものと予想します。現在の短距離国際線数は、30路線あります。タイとASEAN諸国を結ぶルートは、全部で16路線です。また、タイへの旅行者が最も多い中国とタイを結ぶルートはさらに7路線あり、香港、マカオ、インドを結ぶルートが計7路線あります。

1月の民間消費は前月比で0.2%上昇したものの、前年同月比では1.5%下落しました。ゴムを始めとする農産物価格の下落や家計債務負担が高水準であることの影響を受けて、支出に慎重になっている世帯が多いことなどが背景にあります。
一方、民間投資は12月の前年同月比1.2%増から同0.2%減となり、プラス成長からややマイナス成長に転じました。石油価格の下落や低金利に伴う生産コストの減少にもかかわらず、機械・設備投資と建設投資は前月から横ばいでした。景気の回復が遅れているほか、政府のインフラ投資計画がまだ始動段階にあることから、生産増強や建設への投資は低い水準にとどまりました。
1月の輸出は、前年同月比2.6%減の171億6300万米ドルとなり、前月から収縮しました。石油、天然ゴム、石油化学製品などの輸出価格も原油価格に連動して下げ続けていることが理由です。また、貿易相手国の経済も、特に中国とASEAN諸国で減速しているほか、欧州向け輸出ではタイ製品が一般特恵関税(GSP)の対象から除外されたことも響いています。しかしながら、米国とCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)向け輸出は、順調に拡大しています。
商務省が発表した2015年2月の貿易統計によると、タイの輸出額(約172億2980万米ドル)は前年同月と比べ、1月の3.5%減から6.1%減になり、2ヵ月連続でマイナス成長となっています。

kasikorn

主要輸出先国の経済回復が予測より遅れや、石油や天然ゴムなど農産物の価格が低迷していることなどにより、タイの輸出低迷につながっています。
品目別に見ると、農産物・加工品では、天然ゴムが前年同月比38.8%減、コメが同1.5%減となりました。主要工業製品では、自動車・部品が同1.3%減、コンピュータ・部品が3.0%減となったものの、電子回路が同8.2%増加しました。日・欧・中向けの輸出は引き続きマイナス成長となっています。しかしながら、米国向けの輸出は同5.1%増となり、7ヵ月連続で増加しました。
工業生産に関しては、12月の前年同月比0.3%減から同1.3%減となり、下げ幅が拡大しました。
その主な理由は、内需と外需が依然として弱い状態となっているためです。しかしながら、集積回路(IC)の生産は世界市場の半導体サイクルの好転を受け、回復傾向にあります。
1月にタイを訪れた外国人観光客は260万人で、前年同月と比べ15.9%増加し、4ヵ月連続でプラス成長となりました。前年同月の政治デモの影響で比較ベースが低くなっていたことが一因ですが、中国とマレーシアからの観光客が顕著に増加しています。1月のホテル客室稼働率は67.1%で、前年同月の60.9%を上回りました。中国政府が段階的に海外旅行に関する規則を緩和していることもプラス材料となっています。
商務省が発表した2015年2月のヘッドライン・インフレ率は、2015年1月の前年同月比0.41%減から同0.52%減となり、2ヵ月連続で減少しました。その主な理由は、原油価格の下落に加え、政府が電力向け燃料調整単価(FT)を引き下げるなど生活費の統制を続けているほか、農産物の供給量が増大していることもあり、物価の押し下げ圧力が強まったためです。
項目別にみると、食品・飲料は全体で1.72%となり、3ヵ月連続で鈍化しました。卵・乳製品がマイナス2.77%となったほか、果物・野菜もマイナス0.24%と前年同月を下回りました。非食品では運輸・通信のうち石油燃料がマイナス20.92%と大幅な下落が続いています。
一方、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比1.45%増となり前月の同1.64%増を下回りました。

kasikorn

gototop