2016.02月号

カシコン銀行経済レポート

【連載】カシコン銀行経済レポート 2016年1月号

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タイ経済・月間レポート(2016年1月号)

2015年11月のタイ経済情報

タイ中央銀行が発表した2015年11月の重要な経済指標によると、タイ経済は前月までと同様に引き続き緩やかなペースで回復しています。政府支出の拡大や外国人旅行者の増加に加え、今年1月の物品税改正を前にした駆け込み需要で新車販売が一時的に加速しました。一方で、外需の低迷で輸出と国内生産、民間投資は依然として低い水準にとどまっています。

2016年のタイ経済は緩やかな回復基調が続く見通し

  • 2015年11月のタイの景気は、前月までと同様に引き続き緩やかなペースで回復しています。政府支出の拡大や外国人旅行者の増加に加え、今年1月の物品税改正を前にした駆け込み需要で新車販売が一時的に加速しました。一方で、外需の低迷で輸出と国内生産、民間投資は依然として低い水準にとどまっています。
  • 2016年のタイ経済は緩やかな回復基調が続く見通しです。公共投資がタイ経済成長に最も重要な役割を果すと予想しております。一方で、民間投資は、経済成長を上積みする見込みです。公共投資の拡大および政府による民間投資の刺激措置により、投資家の信頼感が改善傾向に転じ、全体的な投資環境が改善すると見込まれます。
  • しかしながら、タイの輸出は、狭い範囲で回復する見通しです。その主な下押し圧力として、中国や欧州などタイの主要な輸出相手国の経済回復が遅れる懸念があります。また、世界原油価格の変動により石油化学製品など商品の価格に下押し圧力がかかると見込まれます。
  • 一方で、2016年の個人消費は2015年に比べ横ばいとなる見込みです。消費者信頼感の改善や石油価格が低位にとどまっていることも、家計消費を支援すると見込まれます。しかし、干ばつの恐れと、家計債務の高止まりは、依然として消費の下押し圧力になると予想します。

 

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11月の民間消費は前年同月比で3.7%上昇し、4ヵ月連続で改善しました。農作物価格は下落しているものの、石油価格の低迷や電力料金の引き下げなどのプラス要因を受けて非農家世帯の購買力が上昇しました。非耐久財とサービスの支出が上向いています。一方で、耐久財は、新車販売の回復を受けて、前月の同7.2%減から同1.4%減にマイナス幅が縮小しました。
一方、民間投資は前月比で0.8%増、前年同月比で1.6%増の緩やかな改善となりました。
新車購入に加え、第4世代(4G)携帯通信網の拡張、再生可能エネルギーなどで投資が拡大したものの、改善は限定的で、製造業全体の設備投資は伸び悩んでいます。
11月の輸出は、前年同月比6.6%減の170億600万米ドルとなり、引き続き収縮しました。中国とASEANの経済低迷や、石油関連製品の価格下落などが依然としてマイナスの要因でした。
商務省が発表した2015年12月の貿易統計によると、タイの輸出額(約171億)は前年同月と比べ、11月の7.4%減から8.7%減になりました。また、2015年通年のタイの輸出額は、前年比5.8%減の2143億7510万米ドルとなりました。世界経済の回復の遅れに加え、原油価格が前年比42.5%減と落ち込んだことに伴う石油化学製品、プラスチック粒など関連製品の価格低下が響き、全体の輸出を押し下げました。
2015年の品目別に見ると、主要工業製品のうち、車両・部品が乗用車の急回復を背景に前年の0.2%減から2.4%増に回復した一方、電子製品・部品はハードディスク駆動装置(HDD)の減速が響き、前年の4.3%増から1.3%減に転落しました。電気製品・部品は全品目で前年割れとなり、前年の2.3%増から5.2%減に急落しました。一方で、農産物・加工品は7.4%減となり、天然ゴムの16.0%減を筆頭に、コメも15.2%減、食品も4.1%減と前年割れでした。
工業生産に関しては、10月の前年同月比4.2%減から同0.1%増となり、小幅ながら3ヵ月ぶりのプラス成長を記録しました。自動車の生産が引き続き増加していますが、物品税率の改定を前にした駆け込み需要が一因でした。エコカーは、欧州向け輸出が好調で、輸出向け生産が増えています。前月に受注減から落ち込んでいた集積回路・半導体の生産レベルもやや回復したことに加え、家電製品の生産はエアコン輸出が上向いたことで増加しました。しかしながら、衣料品、ハードディスク駆動装置(HDD)、繊維は2桁の下落でした。

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11月にタイを訪れた外国人観光客は前年同月比5.1%増の254万9455人となり、前月からの伸びが改善しました。これより前は、バンコクでの爆弾事件を受け、3ヵ月連続で前年同月比収縮しましたが、11月は中国人観光客の増加から改善の兆候が見られました。
商務省が発表した12月のヘッドライン・インフレ率は、11月の前年同月比0.97%減から同0.85%減となり、12ヵ月連続で減少しました。原油安を受けてガソホール95(エタノール10%混合のハイオクガソリン)、ガソホール91(エタノール10%混合のレギュラーガソリン)、軽油の小売価格が下がったほか、生鮮野菜や鶏卵などの食品が供給増で全体を押し下げました。
品目別にみると、食品・飲料は前年同月比0.83%上昇し、2ヵ月連続で上昇幅が縮小しました。卵・乳製品が同0.26%、生鮮野菜が同1.02%、調味料が同0.32%それぞれ下落しました。一方で、非食品・飲料は同1.78%下落しました。
燃料石油が同18.93%と大きく落ち込みました。
振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0.68%上昇しました。
バーツ相場の変動については、タイバーツは、2016年1月14日には1米ドル=36.34バーツの終値をつけ、2015年12月14日の1米ドル=36.11バーツから小幅に軟調傾向を見せました。その原因は、中国経済への不安と原油の安値圏推移で、投資家がリスク回避の姿勢をとり、タイバーツが軟化しました。一方で、バーツ対円の変動について、2016年1月14日には100円=30.78バーツの終値をつけ、2015年12月14日の100円=29.80から軟調傾向を見せました。

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