2015.02月号

カシコン銀行経済レポート

【連載】カシコン銀行によるタイ経済・月間レポート 2015年1月号

arayz kasikorn

タイ経済・月間レポート(2015年1月号)

2014年11月のタイ経済情報

タイ中央銀行が発表した2014年11月の重要な経済指標によると、多くの経済部門は、前月に引き続き改善しています。
民間消費・投資が引き続き改善していることにより、工業生産が前月に比べ改善しました。しかしながら、日・欧・中の経済が依然として鈍化傾向にあるため、タイの輸出は未だ不安定な状態が続いています。また、世界原油価格の低下に伴い、天然ゴムや石油化学製品など一部の輸出品はマイナス影響を受けました。

11月のタイ輸出は不安定な状態が継続

  • 2014年11月の多くのタイ経済部門は前月に引き続き上向きました。民間投資と観光業の回復が持続しました。また、民間消費・投資が引き続き改善していることにより、工業生産が前月に比べ改善しました。しかしながら、日・欧・中の経済が依然として鈍化傾向にあるため、タイの輸出は未だ不
    安定な状態が続いています。全体として景気の回復は未だ緩やかなテンポにとどまっています。
  • 2014年12月のヘッドライン・インフレ率は、11月の前年同月比1.26%増から同0.60%増となり、7ヵ月連続で鈍化しました。その主な要因は、世界原油価格が下落を続けていることに加え、農産物が大量に市場に出回って小売価格を押し下げたことです。この結果、2014年通年のヘッドライン・インフレ率は、前年比1.89%にとどまりました。
  • 近年、タイの小売業、特に近代的小売業は、チェーン店を増やし続けているものの、バンコク首都圏および主要県では大規模小売店の出店に適した土地を探すことがより困難となっています。一方で、その他の地域、特に中規模都市がある県は、都市化の進展や国境貿易などの支援要因により、今後、小売業拡大の重要なターゲットとなると見込まれます。
  • バンコク首都圏の卸売・小売業のGDPは、地方都市との比較で、2010年の60対40から、2015年には55対45へと徐々に低下していくと見込まれます。また、一部の大手小売業の売上高を見ると、2010~2013年に年間平均約17.5%成長しました。売上の増加の多くは、新店舗、特に主要な地方都市における出店を積極的に拡大してきた成果です。

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11月の民間消費は10月の前年同月比0.3%減から反転、同0.7%増に拡大しました。
非農家の雇用や収入の改善、石油価格の下落などを受けて、非耐久財や半耐久財、サービスへの支出が拡大しました。しかしながら、耐久財への支出は、家計債務の拡大で消費者が高額商品の購入に慎重になっているほか、農産物価格の下落に伴う農家の購買力低下で、民間消費は依然として不振が続きました。
一方、民間投資は10月の前年同月比2.8%減から同0.4%減となり、ややマイナス成長となりました。しかしながら、前月比では1.4%の上昇となりました。携帯通信や高速インターネット通信網の整備に向けた資本財の輸入に起因する機械・設備への投資が拡大したほか、不動産需要の回復で建設部門への投資も活発化しました。
11月の輸出は、前年同月比1.8%減の182億3600万米ドルとなりました。中国、日本、欧州の需要が鈍化していることに加え、石油、天然ゴム、石油化学製品などの輸出金額も原油価格に連動して下落しました。原油価格の下落で、輸入も同4.2%減の163億2200万米ドルに縮小しました。
商務省が発表した2014年12月の貿易統計によると、タイの輸出額(約187億9000万米ドル)は前年同月と比べ、11月の1.00%減から1.9%増になり、マイナス成長からプラス成長に転じました。
その結果、2014年通年の輸出は前年比0.4%減となり、やや縮小しました。12月のタイ輸出を品目別に見ると、農産物・加工品の総輸出額は11月の前年同月比8.5%減から同0.8%上昇しました。とりわけ、コメは前年同月比67.0%増となりました。また、コンピュータ・同部品は同1.4%増、自動車・同部品は同11.7%増となりました。日本向けの輸出は前月のマイナス成長からプラス成長に転じました。それに加え、ユーロ圏、中国向けの輸出は引続き減少しました。
工業生産に関しては、10月の前年同月比2.9%減から同3.5%減となりました。しかしながら、前月比では1.2%の上昇となりました。国内需要が上向いた結果、工業生産は全体として前月から増加しました。
このほかに、11月終わりから12月初めにかけてのモーターエキスポの開催で、自動車の生産も刺激を受けています。石油は、一部の製油所が9月終わりから11月初めにかけてのメンテナンスによる生産休止を終えて、運転を再開したことで生産が増加しました。

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商務省が発表した2014年12月のヘッドライン・インフレ率は、11月の前年同月比1.26%増から同0.60%増となり、7ヵ月連続で鈍化しました。世界原油価格が下落を続けていることに加え、農産物が大量に市場に出回って小売価格を押し下げたことが主な要因になりました。
項目別にみると、食品・飲料は全体で前年同月比3.16%増となり、2ヵ月ぶりに鈍化しました。卵・乳製品がマイナス1.38%となったほか、果物・野菜は0.06%と小幅な上昇にとどまりました。非食品では運輸・通信のうち石油燃料がマイナス14.55%と下落幅が拡大しました。
一方、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比1.69%増となり前月の同1.60%増をやや上回りました。
また、2014年通年のヘッドライン・インフレ率とコア・インフレ率は、前年比1.89%と1.59%にとどまりました。
バーツ相場の変動については、タイバーツは、2014年12月末には1ドル=32.91バーツの終値をつけ、11月末の終値1ドル=32.86バーツからやや軟化しました。欧州や中国などの経済が依然として鈍化傾向にあることを背景に、米国の経済が引き続き改善していることにより、米ドルが上昇し、タイバーツが軟化しました。

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