2016.01月号

カシコン銀行経済レポート

【連載】カシコン銀行経済レポート 2015年12月号

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タイ経済・月間レポート(2015年12月号)

2015年10月のタイ経済情報

タイ中央銀行が発表した2015年10月の重要な経済指標によると、タイ経済は引き続き緩やかなペースで回復しています。政府予算が順調に執行されていることが支援材料になっています。民間消費は、生活必需品とサービス支出増により拡大しました。外国人観光客数も主に中国人観光客の増加から上向く兆候が見られます。

タイ景気は緩やかに回復

  • 2015年10月のタイの景気は、引き続き緩やかなペースで回復しています。民間消費と、継続的な政府の予算執行が経済を押し上げています。また、観光業の伸びも前月に比べ改善しました。しかしながら、輸出は未だ不安定な状態が続いています。商用車や中国向けの電子部品など一部の品目は好調だったものの、中国とASEANの経済減速、石油関連製品の価格下落などがマイナスの要因となりました。
  • 11月のヘッドライン・インフレ率は、10月の前年同月比0.77%減から同0.97%減となり、11ヵ月連続で減少しました。世界市場での燃料価格の下落を背景に、国内のガソリン・軽油小売価格が下がったほか、生鮮野菜や鶏卵などの食品が供給過剰で全体を押し下げました。
  • 2016年のタイ経済は、2015年に比べ緩やかに改善する見込みです。公共投資が拡大するとともに、民間投資も上向く見通しです。また、世界の商品市況が安定に向かうとともに、輸出はプラス成長に戻すと予想します。従って、2016年通年のタイのGDP成長率は通常ケースで前年比3.0%増になる見込みで、2015年の同2.8%増から改善すると予測します。
  • タイのプラスチック産業は、ポテンシャルを有する産業の1つとなっています。上流、中流、下流の分野で生産工程が揃っていることに加え、石油化学工業の人材も育成されています。向こう1~3年の短期的には基礎プラスチックがタイのプラスチック工業を牽引する主力商品であり続ける見込みです。一方で、長期的には高度技術を使ったプラスチック製品、中でも生分解性プラスチック製品がタイのプラスチック工業にとって重要な推進力となると予想します。

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10月の民間消費は前年同月比で2.2%上昇しました。非耐久財と、通信費や輸送費などのサービスの支出が上向いています。支援材料は、石油価格が低位にとどまっていることで非農業部門の購買力が上向いたこと、消費者の信頼感が改善したことです。
一方で、耐久財は、新たな物品税の導入を前に自動車が上向きましたが、全体では同7.2%の下落となりました。
一方、民間投資は前月比で1.0%増、前年同月比で1.5%増の緩やかな改善となりました。国内外の需要の伸び悩みから全体的な投資水準は依然として低迷しています。
10月の輸出は、前年同月比8.0%減の182億8800万米ドルとなり、引き続き収縮しました。商用車や中国向けの電子部品など一部の品目は好調だったものの、中国とASEANの経済減速、石油関連製品の価格下落、欧州連合(EU)のタイ向け一般特恵関税(GSP)撤廃を前にした昨年の駆け込み需要の反動などがマイナスの要因でした。
商務省が発表した2015年11月の貿易統計によると、タイの輸出額(約171億6700万米ドル)は前年同月と比べ、10月の8.1%減から7.4%減になりました。主要輸出先国の経済回復が予想より遅れたことや、原油価格と農産物価格の下落などが全体を押し下げました。従って、2015年通年のタイの物品輸出は前年比5.0%以上の収縮になると見込まれます。
品目別に見ると、主要工業製品のうち、自動車・部品が前年同月比13.7%増、集積回路が同5.4%増となった一方で、精製油、化学製品、合成樹脂など石油関連製品の輸出額は原油安にともなう輸出価格の下落から収縮しました。一方で、農水産品は同7.0%減でした。コメと天然ゴムがそれぞれ7.9%減、12.7%減となるなど軒並み不振でした。
工業生産に関しては、9月の前年同月比3.6%減から同4.2%減となり、前月から僅かに減少しました。
生産品目別では車両と石油を除き全て悪化しました。同25.4%下落したハードディスク駆動装置(HDD)のほか、衣料品と集積回路(IC)・半導体が2桁台の落ち込みとなりました。

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10月にタイを訪れた外国人観光客は前月比で9.7%増の222万8000人となり、前月からの伸びが改善しました。これより前は、バンコクでの爆弾事件を受け、2ヵ月連続で前月比収縮しましたが、11月は中国人観光客の増加から改善の兆候が見られます。
商務省が発表した11月のヘッドライン・インフレ率は、10月の前年同月比0.77%減から同0.97%減となり、11ヵ月連続で減少しました。原油安を受けてガソホール95(エタノール10%混合のハイオクガソリン)、ガソホール91(エタノール10%混合のレギュラーガソリン)、軽油の小売価格が下がったほか、生鮮野菜や鶏卵などの食品が供給過剰で全体を押し下げました。
品目別にみると、食品・飲料は前年同月比0.88%上昇し、上昇幅が縮小しました。卵・乳製品が同0.91%、生鮮野菜が同0.80%、調味料が同0.06%それぞれ下落しました。一方で、非食品は同1.99%下落しました。また、運輸・通信のうち石油が同21.90%と大きく落ち込みました。燃料石油が同21.09%落ち込んだことに加え、通信も同0.03%減でした。そのほかは概ね上昇しました。振れ幅の大きい生鮮
食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0.88%上昇しました。
2016年のタイ経済の動きに関しては、2015年に比べ緩やかに改善すると予想しています。2016年の政府部門の投資が経済成長を牽引し、追随して民間投資も上向く見込みです。また、輸出は、中国や欧州などタイの主要な輸出相手国の経済が依然として回復しない見通しだが、世界の商品市況が安定に向かうとともに、プラス成長に戻すと予想します。
一方で、来年、干ばつは再び発生する見通しで、農業所得に下押し圧力がかかるものの、世界の商品価格が緩やかに改善する見込みで、個人消費に大きな影響を及ぼさないと予想します。
従って、2016年通年のタイのGDP成長率は通常ケースで前年比3.0%増になる見込みで、2015年の同2.8%増から改善すると予測します。
バーツ相場の変動については、タイバーツは、2015年12月14日には1米ドル=36.11バーツの終値をつけ、11月19日の1米ドル=35.81バーツから引き続き軟調傾向を見せました。その原因は、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月15、16日に開く政策決定会合での利上げが予測されていることから、世界的なドル高によります。一方で、バーツ対円の変動について、12月14日には100円=29.80バーツの終値をつけ、11月19日の100円=29.10から小幅な軟調傾向を見せました。

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