カシコン銀行経済レポート

【連載】カシコン銀行によるタイ経済・月間レポート 2015年6月号

デジタル時代におけるブロードバンド・インターネット網への投資拡大

現代において、デジタル技術は農水産業、工業、サービス業の経済活動のあらゆる部門に浸透し、大きな役割を果しています。国の経済開発のレベルアップと競争力の増進にとって、非常に重要になっています。デジタル技術は、企業や政府部門にも広く応用されており、現在から未来へと至る現代の経済は、デジタル技術の基礎に立脚して、進化させられる「デジタル・エコノミー」と呼ばれます。
デジタル・エコノミーでは、インターネット関連のインフラ、いわゆる、高速インターネット(ブロードバンド・インターネット)が重要な基礎要素の1つだと考えられます。ブロードバンド・インターネットにより、事業者や消費者を含む経済システム内の各セクターが相互に連結し、従来の事業を進化させたり、オンラインでの製品売買、オンラインでの遠隔地教育、デジタル形態の宣伝など、新しい形態のビジネス面のイノベーションを生み出すことができます。
一方で、消費者側にとっても、インターネットを通じてニュースや情報の獲得、ソーシャルメディア内の友人グループとの連結、動画サイトでのドラマの再視聴など、デジタル時代の消費者の日常生活活動に入り込んでいます。
ブロードバンド・インターネットへのアクセスに関しては、有線・無線両タイプのインターネット網への接続により、アクセスが可能です。また、通信機器に関する技術の進歩、とりわけ多機能携帯電話(スマートフォン)とタブレット端末の普及により、タイのブロードバンド・インターネット事業は、過去2〜3年間で急速な成長を遂げました。さらに、インターネット網の拡充に向けた投資も継続的に行なわれており、有線(光ファイバー)と無線(3G/4G)方式のブロードバンド・インターネット網の拡充が進められています。
カシコンリサーチセンターは、2015年の有線・無線のブロードバンド・インターネットの利用者数が3460〜3600万人に増加し、前年から19.3〜24.1%増となると予測します。
また、アクセス率は、年齢6歳以上の全国民において、2014年の45.3%から53.6〜55.8%に上昇する見込みです。
ブロードバンド・インターネット網への投資額に関しては、2015〜2016年に有線・無線両タイプ合わせて1732億バーツに達すると見込まれます。そのうち、有線方式の拡充投資が官民合わせて1120億バーツを超え、投資額全体の64.2%を占めると予測します。これに加えて、民間の大手携帯電話サービス業者による3G/4Gネットワーク拡充投資が約620億バーツ、全体の35.8%となる見込みです。ただし、4Gネットワークへの拡充投資は、現存の3Gネットワークの周波数で開発される形で進められると思われます。900と1800メガヘルツの周波数帯を利用する4Gネットワークへの投資は、来年に入ると予想します。
有線・無線両タイプのブロードバンド・インターネットへの拡充投資により、タイ経済システム全体の価値がさらに1388億6000万〜1756億7000万バーツ増加すると予測します。
ネットワーク整備事業、オンラインでの製品売買事業、デジタル・コンテンツ事業、電子サービスを提供する事業などの価値が増大すると見込まれます。

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■タイ経済最新情報 6月号 2015/6/30 (No.112)
監修:カシコンリサーチセンター
マクロ経済・投資調査部取締役副社長
Dr. ピモンワン マハッチャリヤウォン
マクロ経済調査主任研究者
ルチパン アッサラット
ハタイワン トュンカティラクン

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