中野陽介コラム

アート旅行記 世界に隠れた美の力 2 ドイツ/ベルリンの壁

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世界に隠れた美の力 2 ドイツ/ベルリンの壁

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東ドイツと西ドイツを分け隔てていた、冷たく、重たい壁。
たった26年前まではこの壁が機能していたかと思うと、当時の空気の重さや、そこに佇む善良な市民たちの怒りや悲痛の叫びが聞こえてくるような気がして、僕は壁に沿ってゆっくりと歩くことしかできませんでした。そんな壁も、今では世界中の芸術家たちによって愛溢れる壁画に変わってくれていたお陰で、徐々に心と体が軽くなり深呼吸できるようになりました。
そのときハッとさせられたのです。これこそが「芸術の力」だと。

「ネガティブをポジティブに変える力」、「絶望の中から希望の光を作る力」。
この希望の光を創りだす芸術の力は、未来に希望が見えづらい現代だからこそ必要です。問題に対する憤りをエネルギーにして、それを解決するために挑み、それが現実になったならば、それはゴッホやピカソの作 品よりも遥かに価値のある傑作だと僕は思います。一人一人が自分の中にある芸術の力を利用して、それぞれの希望の光を創造していけば、こんな壁も2度と作られることもないだろうなと思いました。

しかし皮肉なものでそんな冷たい壁だっただからこそ、今では大切なメッセージを届けてくれる暖かい壁になっています。芸術の力を使って、見事にネガティブをポジティブに変えた傑作を目の当たりにして身が引き締まる思いでした。

私だったらこの壁にこんな絵を描きます。壁が、人間の想念「LOVE・ART・PEACE・美」の元に破壊され、分裂していた二つの魂が壁を乗り越え繋がりあい、愛情が生まれひとつになる様を表現しています。

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結婚に興味のなかった2人が、バンコクの会社で出会って3年で結婚。夫でアー ティストの中野陽介は本物の芸術を見つけるために、妻は次に住みたい国を見つけるために、1年間で23ヵ国を巡る“世界一周ハネムーン旅”を2016年6月からバンコクからスタート。

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