日本人会計士が語る、在タイ日系企業の「会計のあるべき姿」②

bbs

ステージ2 自社経理のデメリットを克服

現地経営者が抱える会計の課題について、ArayZでは「会計のあるべき姿」をテーマに公認会計士であるBBSタイランドの西川氏へインタビュー。
現地経営者のためのアドバイスを3ヵ月連続で紹介する。

乗り越えるべき3つのステージ

西川氏が挙げる、タイ会計実務の課題は大きく2点、『会計数値が不正確かつ出来上がりが遅い』そして『会計情報が経営に活用されていない』という現状だ。
「会計の本来の目的の1つは会社の実態を数字で表現し、それを経営判断に活用することです。会計数値という確かな情報に基づき経営判断をすることで、感覚だけでない、より安定感のある経営が可能です。
『正確かつタイムリーな経理』と、『会計情報の経営への活用』を実現するためには、

①記帳代行から自社経理への切替え

②社内不正などの自社経理によるデメリットの克服

③会計情報の経営への活用準備

という3つのステージを乗り越える必要があります。前回は①の実現で得られるメリットと方法について解説しました(見逃しという方、ご連絡ください!)。
今回は、『②自社経理によるデメリットの克服』についてお伝えしたいと思います」。

不正防止には「職務の分離」と「不正のできない業務ルール」が有効

「前回『自社経理への切り替え』が必要とお話しましたが、自社経理もメリットばかりではありません。最も大きなデメリットは社内不正リスクです。
経理担当者がVATを現金納付した振りをして懐に入れる、現金を着服したうえで会計帳簿を操作し隠ぺいするといったケースをタイでもよく耳にします。
こうした社内不正については「職務の分離」「不正のできない業務ルール作り」が有効です。例えば上記のような不正であれば、現預金取扱者と記帳担当者を分ける、現金・小切手使用時の監視ルールを作成することで、かなりの程度で防止・発見することが可能です。
皆様に先ず実施をお勧めしたいのは、経理担当者に権限を持たせすぎていないか、多額の出金の承認者を社長・あるいは信頼に足る人物にしているか、記帳・出納事務・販売管理・購買管理をそれぞれ別担当者としているかのチェックです。ただ、会社規模によっては担当者分離が難しいため、その場合は業務チェックの強化、権限の制限で対応できます。また、業務ルールではありませんが、現金着服を帳簿上で隠ぺいすると、仮払金・その他資産といった資産項目に隠されることが多いため、貸借対照表(BS)上、内容不明の資産が計上されていないか定期的にチェックするのも非常に有効です」。

CFO(経理部長)をパートタイム採用

こうした不正対策の社制を構築するには、経理の深い知識が不可欠だ。しかしながら、経理畑の日本人や、全幅の信頼をおけるタイ人経理のいない会社も多い。そこで、BBSタイランドでは、同社の日本人会計士が月1回ほど訪問、CFO(経理部長)としての役割を担い、不正監視ルールといった社内体制構築を助言・実行する『CFO代行サービス』を提供している。
予算的に日本人経理担当を採用できない、駐在させられない会社においても、訪問頻度を抑えることでより少ないコストで経理部長をパートタイム採用できるイメージだ。
「日本人経理不在で、苦労の絶えない企業様を支援することが我々の使命だと思っています。我々を日本から来た経理人員だと思って、BBSを活用してください」。
次回(7月号)では、最後のステージである「③会計情報の経営への活用準備」についてお話します。

 

bbs

西川 和輝
(日本国公認会計士)
BBS (Thailand) Co., Ltd.
シニアコンサルタント
早稲田大学商学部在学中に公認会計士合格。卒業後、
あずさ監査法人に入所。上場、中小問わず幅広い規模・
業態の監査に従事、その経営を学び、現在に至る。

bbs

株式会社ビジネスブレイン 太田昭和
設立: 1967年8月
売上高: 77億16百万円<単体>/169億73百万円<連結>(2014年3月)

BBS (Thailand) Co., Ltd.
27th Fl., Bhiraj Tower at EmQuartier, Unit 2701,
689 Sukhumvit Rd., Bangkok 10110
お問い合わせ:TEL:099-009-5301(西川)
E-mail:knishika@bbs.co.jp HP:www.bbs.co.jp/th

gototop