中小企業社長兼経営コンサルによる、現場発-経営論

第1回 ご挨拶

第1回 中小企業社長兼経営コンサルによる現場発経営論

私はタイで小さな経営コンサルティング会社の社長をしています。私がタイで立ち上げた会社なので、頼れる親会社もブランドもなく、お客様は一人もいない状況でスタートしました。今でも、日々悩みながら会社を経営しています。一方で仕事上、お客様も会社経営に何らかのお悩みを抱えた方が多いです。私はそのお客様に価値のあるお話をすることを求められます。

そんなわけで、私は日々「自社の経営に悩みつつ、お客様の経営にコミットする」という何とも居心地の悪い仕事をしています。ただ、その中小企業社長兼経営コンサルタントという立場が、お客様の役に立つのではないか、と僭越ながら思っています。なぜなら、お客様の経営に関する悩みを、他人事ではなく自分事として真剣に考えたことがあるからです。

かつて経営コンサルタントとして会社勤めをしていた時、お客様であった中小企業のオーナー社長から「あなたは結局何とでも言えるじゃないですか。自分で経営をやってるわけではないんだから」と言われたことがあります。なんてことを言うんだ、と正直思いましたが、今では何となくそのお客様が仰っていたことが分かるような気がします。要は「理屈ではそうかもしれないけど、私がそれをやるとした場合のことを考えたことある?」ということだったのではないかと。

「知に働けば角が立つ、情に棹させば流される」ではないですが、経営コンサルタントが外部者として保持するべき「客観性」と、お客様の感情を含めた実行者としての「主観性」への理解をどのようにバランスをとるか、というのは非常に難しい問題です。ともすればどちらも中途半端になりかねません。

しかしながら、経営者として、あるいは経営コンサルタントとして優秀な方たちがごまんといる中で、私が何か言えることがあるとすれば、中小企業社長兼経営コンサルタントとして必死にもがきながら思ったこと、理論でも経験論でもない、ある意味中途半端ではあるけれど、ひたすらリアルな言葉なのではないかと思うようになりました。

このコラムでは約1年、お客様から頂いた経営に関する質問をベースに、私が思うことを書いてみようと思っています。経営アドバイスではありませんが、何か皆様のヒントになれば幸いです。また、ご質問があれば大歓迎です。これからどうぞよろしくお願いします。

倉地 準之輔(写真右)
倉地 準之輔(写真右)
日本で大手監査法人、外資系企業勤務を経て、2013年来タイ。外資系会計事務所のジャパンデスクにて日系企業向けコンサルティング業務に従事した後、15年10月にBizWings (Thailand) Co., Ltd.を設立。経営コンサルティング業務を提供し、現在に至る。公益財団法人東京都中小企業振興公社タイ事務所経営相談員。ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・コーディネーター。公認会計士(日本)。東京大学経済学部経営学科、米ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。

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