中小企業社長兼経営コンサルによる、現場発-経営論

第22回 SDGs導入にあたって重要なポイント

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Q:10月号でSDGsに取り組む中小企業として掲載されていましたが、導入にあたって重要なポイントを教えて下さい。

A:本誌10月号の記事の中で、SDGsの事業上のメリット、具体的な取組内容とその方法についてお話しています。

そちらの記事をお読みいただいた方の中には、自社でも取り組んでみたいがどうすればよいだろうか、という疑問を持たれた方もいらっしゃるでしょう。

本稿では、私がSDGsへの取組を進める上で重要と思われる3つのポイントについて説明します。

① マネジメントが本気で取り組むこと

まずは、マネジメントが経営施策の一環としてSDGsを取り上げ、真剣に取り組むことを決意しましょう。きっかけは親会社からの依頼、顧客からの指示、外部団体からの要請など何でも構いません。

SDGsへの取組が顧客との取引関係維持の必須条件になった(ヨーロッパではこういったことが現実にあるそうです)といった状況ではない場合、SDGsの事業上メリットは短期的には見えないこともあります。

そういった状況下でも組織として継続的にSDGsに取り組むためには、マネジメントのコミットメントが不可欠です。

例えば弊社では、SDGsに取り組むことを社内に説明したうえで、UN Global Compactへの加盟を行い、社外にもSDGsへの取組を行う旨を表明しています。

また、SDGsの取組についてマネジメントと担当者で議論するミーティングを週次で実施し、方向性の決定と進捗の確認を行っています。

② 社内でSDGsに関心が高く、やる気がある人を見つけること

社内でSDGsや社会貢献活動に関心が高い人を見つけましょう。経理や人事など、SDGsと一見関係なさそうな部門のメンバーが実は関心を持っており、会社で進めてみたいと思っているかもしれません。SDGsは若い世代における認知度や関心が高いことが特徴であり、若いメンバーが貢献してくれる可能性も十分にあります。

弊社でも、会計部門のインターン応募者との面談で、実は彼女がSDGsに高い関心があるということがわかりました。当初想定していた会計業務ではなく、SDGsに関する業務に従事してもらうことになり、そのメンバーがSDGsの推進において非常に貢献しているという背景があります。

③ 簡単に取り組めることから始めること

コンサルタントを雇いシステマチックにSDGsを導入するのも、もちろん良いアイデアです。他方、自社でまずは始めてみたいという場合は、簡単に取り組めることから始めましょう。インターンの募集でも、ごみの分別でも、何でもよいと思います。

①、②からもうっすらお分かりいただけると思いますが、SDGsの導入にはそれなりの推進力が必要です。その導入にあたって初めから詰まってしまうよりは、まずは何かやってみるのが良策でしょう。

弊社は設立間もないころからSDGsの導入という意識がない状況でも、インターンの採用を実施していたので、素地はあったのかもしれません。やりようによっては、ほとんど費用もかかりません。いずれにしても、壮大な目標を立てて躓くのではなく、できることからやってみましょう。

寄稿者プロフィール
  • 倉地 準之輔 プロフィール写真
  • 倉地 準之輔

    日本で大手監査法人、外資系企業勤務を経て、2013年来タイ。外資系会計事務所のジャパンデスクにて日系企業向けコンサルティング業務に従事した後、15年10月にBizWings (Thailand) Co., Ltd.を設立。経営コンサルティング業務を提供し、現在に至る。公益財団法人東京都中小企業振興公社タイ事務所経営相談員。ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・コーディネーター。公認会計士(日本)。東京大学経済学部経営学科、米ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。

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