バンコク不動産投資

元外資系投資銀行アセットマネジャーが分析する! バンコク不動産投資最新動向

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第4回プレビルドから築浅中古物件へ、主役交代始まる!

これまで私はブログの中で、バンコク・ダウンタウンの中古物件の価格は安すぎる。今なら、プレビルドより築浅中古物件を買うべき、と2年も前から書いてきた。
オフプラン(プレビルドのこと)発祥の地ロンドンで、長年この手の商業不動産投資を職業としてやってきた私には、オフプランとは、デベロッパーがその開発リスクを初期段階から投資家に共有してもらい、プロジェクトの資金負担とマーケットリスクを軽減するために始めたものであり、リスクがある分、価格は割安になっていて当然という認識だ。しかし、ここ、バンコクの新規で発表されるプレビルド物件の価格は少しも安くないという矛盾を兼ねてから指摘してきた。
次々と新しいプロジェクトを開発していかなければならない宿命のデベロッパーにしてみれば、都合の悪い話なのだろうが、実際、バンコクの新規プレビルドは築浅中古に比べて相当価格が割高だ。そこで彼らは、地価上昇が原因だから仕方がないという。そして、価格が割高であってもほとんど無謀ともいえる強引な新規供給をしてくる。
つまり、タイのコンドミニアム市場では、優れたプロジェクトを選び抜く眼力を持ってないと供給過剰の中でデベロッパーと共倒れになってしまうリスクがあるということだ。これも開発リスクの一つ、マーケットリスクを取るということでもある。そして、この過剰供給を止めるには、割高なプレビルドはもう買わない、というマーケットの抑止力しかない。
さて、そんな中、最近、プラスプロパティが過去3年間の約1万件、金額にして約1,500億円のリセール売買事例を調査した結果、昨年からコンドミニアムのリセールマーケット(プレビルドの購入予約権および竣工中古物件の売買市場)で異変が起こっていることが分かった。

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これを見ると、件数ベースではプレビルドのバイジョーングと呼ばれる購入予約権の転売比率が、2014年の74%から2015年には一挙に32%へと急落しているのが分かる。金額ベースでも同様だ。何が起こっているかというと、プレビルド物件よりも築数年の築浅中古物件の方がずっと割安だから、こちらに人気がシフトしたということだ。
グローバル・スタンダードから見れば、いずれこういうことが起こるだろうとブログの中でも以前から指摘してきたわけだが、CBDやダウンタウンでの用地不足により、バカ高くなった土地を購入してでもデベロッパーが更なる新規供給を続けた結果、中古物件との格差が大きく開いてしまい、この見直し買いが始まる、つまり、マーケットがターニングポイントにきたということだ。
このことは拙著の本の中でも、こう書いている。「今、バンコクのコンドミニアムマーケットは、新築偏重から中古物件見直しへシフトせざるを得ないというターニングポイントにきていて、 ここには大きなチャンスがあります。それは、中古物件であっても、優れたロケーションのコンドミニアムに対しては、その希少価値が再評価され、キャップ・コンプレッション(収益還元利回りの低下)が起こり始めるということです」。

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藤澤 慎二
前職はドイツ銀行の国際不動産投資ファンド、RREEFのシニア・アセットマネジャーで米国公認会計士。現在はバンコクに在住し、自身のブログ「バンコクコンドミニアム物語」(http://condostory.blog.jp)で、バンコクの不動産マーケット情報を発信している。

連絡先:087-481-9709
bkk.condostory@gmail.com

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