Book Review

読むたびに背筋が伸びる、人間学の名著

読むたびに背筋が伸びる、人間学の名著

Accretech Adamas (Thailand) Co., Ltd.
小泉公人

1988年、東京外国語大学ドイツ語専攻を卒業し、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。外国為替業務などを経て、ドイツへ赴任。帰国、退社後に転職し、94年から再びドイツへ赴任。2009年に帰国し、(株)東京精密の海外法人設立などに携わる。14年にタイ赴任となり、現在に至る。
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『修身教授録』

独自の人間哲学、教育哲学の道を切り開き、「国民教育の師父」と謳われた森 信三。昭和12~13年に大阪天王寺師範学校(現・大阪教育大学)で行われた講義録である、『修身教授録』はベストセラー書籍だ。

約10年前、小泉社長はドイツ赴任時代に本書と出会う。きっかけは出版元である致知出版社が発行する月刊誌、『致知』の購読だった。

「仕事で20代後半からドイツに住み始め、海外に出て初めて自分が日本についてよく知らないことに気づきました。特にヨーロッパでは、社交の場において深い教養が求められます。自国の文化、思想、歴史への見識を深めようと、新渡戸稲造の『武士道』や陽明学者である安岡正篤の著書を読む中で、名だたる経営者やビジネスパーソンが愛読しているという本書を知りました」。

人間の生き方について、“人生二度なし”と立志の重要性などを語った内容は、80年の時を超えても古さを感じさせない。

「時代が変わっても、人間の本質は変わらないものなのだと思わされます。中でも、『謙遜と卑屈』『死生の問題』『最善観』は読むたびに背筋が伸びる章です。姿勢を正したい時、自身が傲慢になってはいないかと感じた時に開いています」。

小泉社長は、「30代でたくさんの本を読んできたことが、現在の判断力につながっている」と話す。テクノロジーが進み、人間が考える作業が減っている今だからこそ、考える力を養う重要性は増しているのではないだろうか。

森 信三著
致知出版社 B953

 

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