Book Review

『竜馬がゆく』- 本嫌い社長を夢中にさせた歴史小説

本嫌い社長を夢中にさせた歴史小説

PhoenixTech Japan Co., Ltd.
大野 裕史

2012 年に日本製ボイラーの販売・設置・施工・メンテナンスをタイ国内で行う同社を設立し、現在に至る。海外経験が長く、前職では米国、カナダ、シンガポールの現地法人でゼネラルマネージャー、副社長など重要なポストを歴任した。
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総発行部数2、500万部超の司馬文学の金字塔。土佐の下級武士の次男坊として生まれながら、ついには幕末維新の立役者となった坂本竜馬の奇蹟の生涯を、激動期に生きた多数の青春群像とともに壮大なスケールで描きあげる。

「理科系だったからか、読書を敬遠しがちだった」と大野社長は語る。高知県出身だが、地元の英雄の偉業に対する関心・知識はあまりなく、知人らに詳細を聞かれたときに知っていた方がよいとの理由から本書を手にとった。全8巻の長編だが、「史実に脚色が加えられているにもかかわらず、竜馬以外の魅力的な人物が続々と登場してきて、段々とノンフィクションに思えてきた」と、海外出張の移動時間などを利用して短期間で読破した。

竜馬は多くの名言・格言を残したが、大野氏を勇気づけてくれたのは、「世の人は我を何とも言わば言え 我が成す事は我のみぞ知る」で、「多くの言葉に流され人の顔色ばかり窺うより、自分の信じた道なら成功するまで突き進む生き方を!」といった意味で解釈。後ろ盾だった土佐藩を脱藩して、自分の気持ちに正直で正しいと思う生き方を選択した竜馬に、大野氏は独立した自分に重なる部分があると共感する。

一方、考え方は柔軟で現実主義であった竜馬。「歴史の教科書では、具体的に何を成し遂げたのかが記述されていない。本書ではどのような人物で、どのような功績を残したのか、よく分かります」。

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