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現代の経営や業務にも活用できる「通史」『日本国紀』

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a-Sol (Thailand) Co., Ltd
森 修司
京都市生まれ。警察官時代にタイ語の研修生に選抜される。文化に惹かれ、タイで将来仕事がしたいと志す。帰国後に、香港マフィアなどの検挙解明に携わる国際捜査官やタイの領事を歴任。 
その後、日本の警察大学で幹部教育を受け、総務課長として人事管理や業務管理に携わっていたが、早期退職し念願のタイに渡航。商社の営業をしているときにa-Solの社長に出会う。日本人には珍しく即断即決の人であるなと感心していたが、転職の誘いを受け、タイ法人MDとして現在に至る。

http://www.a-solsh.com
Email:mori@a-solsh.com

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百田 尚樹 著
幻冬舎 720B

平成から令和に時代が変わった今年。秋に行われた「即位礼正殿の儀」や「ラグビー・ワールドカップ」などを通じて、日本人としての存在証明(「自我同一性」)を考え直した方は少なくないのではないか。万世一系の天皇を中心に、古代から現在に至るまで独自の発展を遂げてきた日本で生まれた私たちは何者なのか。本書は2000年以上にわたる国民の歴史と激動にみちた国家の変遷を「一本の線」でつないだ、壮大なる叙事詩である。

「筆者は読み込んだ膨大な歴史資料を自分なりに消化し、真摯な姿勢とわかりやすい文章で表現しています」と森氏。歴史的な事件や国家運営の手法などを振り返る中で、現代の経営や自身の業務に活用できるヒントが所々に隠されているという。 

日本人は言葉通りの事象が実現するという「言霊信仰」を育んできたが、それが大東亜戦争の敗戦の一因になったと指摘。美辞麗句で表面だけを取り繕う根拠のない楽観主義と、問題点や望まないことを受け入れようとしない姿勢が、現代の製造現場にも残っている。「事業を行っていると避けられない問題が必ず起きます。嫌なことを先延ばしすればするほど深刻になります」と最悪の事態を常に想定するべきと提言する。

一方、高い規律と誠実さ、勤勉さは世界でも類をみず、素晴らしい歴史・文化を持っている国であることをこの「通史」が再認識させてくれたと森氏。「他人に対する感謝の気持ちを忘れないなど、日本人が元来持つ謙虚さや忍耐力、道徳心を生徒に教えています」と本書から得た気づきを剣道で実践している。

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