2018.04月号

アジアの女性消費者を取り込む戦略と、次の一手に迫る。

ベンチャー事業を
立ち上げ続ける理由

なぜLINEを辞めてまで、動画メディア事業を始めたのですか?

LINE時代、世界中のさまざまな人達と仕事をする中で、日本企業や日本人の元気がなくなっていく、さらには日本の存在意義がなくなっていくのを感じていました。日本が元気になるような事業を自ら開始しようと思い、スタートしたのがC CHANNELです。動画メディアを通じてポジティブなメッセージを国内、そして世界に発信することで、日本の良いところを次の世代に残したいと思っています。

C CHANNELは日本で最大規模の女性向け動画メディアとして成功し、設立から半年後には海外展開をスタートされました。

現在はアジア9ヵ国(中国、韓国、台湾、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シンガポール)で展開しており、海外だけで1300万ほどフォロワーがいます。すでに5ヵ国(中国、韓国、台湾、タイ、インドネシア)でJV(合弁企業)ないし現地法人を設立するなど活動拠点を広げており、各国で認知度も高まってきています。

タイに関しては、Ookbee(ウクビー)という電子書籍の分野で東南アジア№1の企業をパートナーに選び、2018年3月にはJV設立も予定しています。フォロワーは200万を超えて、月間の再生数が毎月3000万再生以上を記録するようになり、タイ現地での認知度も上がってきました。

現在は3つのビジネスモデルを展開しています。1つ目は、クライアント様の動画を作成し、我々のSNSやアプリで宣伝させていただくネイティブアドモデル。2つ目は、インフルエンサーを使ったマーケティングビジネス。昨年オーディションも開催させていただきました。3つ目は、ECに動画を組み込んだビデオコマースです。

C CHANNELをアジアで展開しようと思ったのはなぜですか?

まず地理的に日本と近いので、肌の色や食生活が欧米に比べて近く、コンテンツが展開しやすいと思ったからです。アメリカや中国はマーケットがある程度成熟しているため、資本力が勝敗を決める場合が多く、そのようなマーケットではベンチャーでは太刀打ちができないと思ったことも大きな理由としてあります。特にアメリカでの成功は困難だと思っています。

日本企業の
アジア
マーケティング手法

国によってマーケティング手法・戦略の立て方に違いはありますか?また、どのように戦略を変えていますか?

基本的に18から24歳の女性をターゲットにしている点は、どこの国でも変わりません。ただ各国によってインフラ環境や流行りのSNSが違うので、広告マーケティングを変えています。

海外でC CHANNELを成長させられている要因とは?

交渉からパートナー選び、契約、ビジネスプランの作成およびオペレーションの立ち上げ部分を少人数の社員で完結させて、各自にそれを次々と経験させることにより、立ち上げノウハウとスキルを集中させたこと。これは日本では数少ない、グローバルで成功した企業であるソニーや、私自身が育てたLINEが、グローバル展開初期にとるビジネスモデルに習ったもので、短期間で成長できた要因はここにあると考えています。

やはり立ち上げは、経験とスキルが物をいうと思うので、複数人でやるより、少人数の方が複数国を立ち上げる場合は成功する確率が高いです。

アジアでのビジネスで注目している分野、注目企業はありますか?

現在、世界的にITサービスの成長が凄まじいのは中国です。その中でも伸びている、「動画×EC」や「インフルエンサー×EC」に注目しています。これからはマスメディアでマスプロダクトを売る時代ではなく、インターネットで、特にネットライブでインフルエンサーがオススメする商品を売ることが主流になると思うからです。

注目しているのは、OokbeeとPOWDER ROOMを運営する2社ですね。

LINEはグローバルで成功し、今はC CHANNELもアジア各国に拡がっています。日系企業がアジアで勝つために必要なこととは?

中国や韓国企業のようなスピード感と、欧米企業並みに質の高いサービスを展開することだと思います。

アジア各国でビジネスを展開していく上で感じる、日本との相違点を教えてください。

日本と同じところはほとんどないと思っていて、それだけ日本のマーケットが特殊であると思っています。ですから海外展開を任せる人材に関しても、日本でうまくいっている人材を送り込むのではなく、むしろ下地が何もない人材のほうがうまくやるケースが多い気がします。日本の企業は積極的に、若い人材にチャンスを与えてあげてください。

今後のアジア展開について教えてください。

C Channelのアジア戦略は、一貫してアジアを面で捉えることです。各国で現地のパートナーと提携していますが、東アジア、東南アジアのユーザーをアジアというエリアで捉え、国境を越えたメディア発信をすることで、中国、韓国、台湾、タイ、インドネシアの主要5ヵ国における事業基盤を固めていきます。

 

森川 亮
Morikawa Akira
C Channel株式会社 代表取締役社長

1989年に筑波大学卒業後、日本テレビ放送網株式会社に入社。 1999年青山学院大学大学院国際政治経済学科でMBAを取得。2000年ソニー株式会社に入社。

その後、2003年ハンゲームジャパン(現 LINE株式会社)に移籍。2007年同社代表取締役社長に就任。2011年に「LINE」をスタートさせた。 2013年4月にはゲーム事業を分離し、社名をLINE株式会社に変更。同時に同社代表取締役社長に就任。2015年3月末より代表取締役社長を退任し、 同社顧問に。同年4月からC Channel株式会社代表取締役社長に就任。

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