【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

インドネシアのEVバッテリーの拠点化の野望と中国リチウムバッテリーメーカーの進出(前編)

2019年1月に中国企業を中心とした投資家がインドネシアの北東部のスラウェシ島モロワリ県でEVバッテリー用原料工場に700億円を投資し、生産を開始する。これは、将来的にリチウムイオンバッテリーを生産する43億ドル規模の投資の第一フェーズに過ぎない。中国がEVのリチウムイオンバッテリーの戦略的原料を確保すると同時に、将来的にはインドネシアでの電動車(xEV)の拠点化を後押しする動きとして注目される。



将来の基幹産業としてのリチウムイオンバッテリー

これまでの有識者・政策当局者との議論に基づくと、アセアン各国の当局者は現在電気自動車(EV)の生産を誘致していても、充電インフラが不十分で、ユーザーに対する購入インセンティブが殆どないなかで、本音では早期のEV普及は難しいと考えているようだ。しかし、それでも各国政府が強気のEV生産・普及のロードマップを発表するのは、市場のポテンシャルを強調することで、将来のEVの核となるバッテリーやモーターなどのキーデバイスの生産を国内に早期に誘致し、将来の基幹産業にしたいからである。

(ArayZ 4月号に続く)

執筆者:野村総合研究所タイ


マネージング・ダイレクター
岡崎啓一


シニアコンサルタント
山本 肇

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