もう悩まない!人材採用&育成のコツを解説 Vol. 5 タイ人事相談室|en world

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タイで日系企業への人材紹介に携わり7年の経験を持つ下川ゆう氏が、人材採用や育成にお悩みの読者様へコツを解説する本コラム。
前回に続き、今回は『優秀人材を探す方法と採用のポイント』の2つ目、社内における“味方”の作り方と重要性についてお話します。

〝求める優秀人材〞を採用するために必要な4つの事項

①採用方法の使い分けとパートナーの選び方

②社内採用担当者の決定とターゲット人材の明確化

③組織図とジョブディスクリプションの準備

④優秀人材を口説くためのアピールと魅力付け

社内採用担当者の決め方

今回は、②社内採用担当者の決定とターゲット人材の明確化についてお話したいと思いま
す。
企業の組織力や、タイにおけるビジネス基盤づくりの明暗を分けるのは、組織の中核となるタイ人優秀人材の存在だと言っても過言ではありません。
10名以下の小規模組織や新設企業などでは、日本人代表者が採用活動を行うのが一般的ですが、組織作りを任せる人事マネージャーやタイ人組織のトップとなるGMの採用、そしてそれらタイ人キーパーソンたちと組織作りの方向性を一致させること、またターゲット人材についての共通認識を作ることをお勧めしています。
4〜5名のさらに小規模な組織では、日本人社長をトップに、タイ人スタッフはすべて並列に組織を構成するパターンが多く見られます。この場合、日本人社長のリーダーシップが試され、トップが入れ替わると組織をゼロから作り上げなくてはならず、持続性に欠けた体質の組織となりかねません。また、日本人社長とタイ人スタッフの架け橋になれるようなコーディネーターの存在は非常に大切です。

社内でコンセンサスを得る

一方、既に組織として出来上がっている企業では、現職の人事マネージャーが大きな力を持ちコントロールが難しいという問題を抱えているケースがあります。この場合は人事マネージャーとコミュニケーション・相互理解を図り、日本人管理職も採用の重要性に向き合い、個人の好みでなく組織として、会社の方向性や目的に沿う優秀人材像を明確にする必要があります。現職の人事マネージャーが採用や組織作りのキーパーソンとして本当に正しい人物かを再考し、より適任な人物を社内もしくは社外で探すのも方法でしょう。
タイ人優秀人材は優秀であるほど上昇志向が強く、若くても自分の実力が試せる、能力が
評価されチャンスが与えられるポジションと、それに伴うより良い待遇を常に求めています。
上司や会社の幹部が魅力的か、一緒に働きたいと思えるか、尊敬できるかといった点も重要で、日系企業でも日本人管理職に信頼、責任を与えられ、タイ人である自身も中心として活躍できる場があるというロールモデルを示せるかどうかが、彼らにとって入社のモチベーションとなるのは間違いありません。
タイ人材採用の落とし穴は、日本人には読み取れないタイ人同士のコミュニケーションを通した採用と評価を重要視せず、また、採用におけるキーパーソンの役割をタイ人人事マネージャーやGMへ権威委譲できず、日本人管理職とタイ人管理職の方向性がずれてしまうことです。
まずは組織に関する双方の意見を交換し、ご自身の右腕として必要な人物像を考えることから始めてみてはいかがでしょう。
(次回は5月号に掲載されます)

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下川 ゆう yu shimokawa
en world Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
日系チーム チーム・マネージャー
立教大学卒業。大手人材紹介会社の東京本社で経験後、2009年に来タイ。
以来、在タイ日系企業への人材紹介に従事。顧客企業の組織発展のための採用支援を得意とし尽力している。

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