もう悩まない!人材採用&育成のコツを解説 Vol. 6 タイ人事相談室|en world

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タイで日系企業への人材紹介に携わり7年の経験を持つ下川ゆう氏が、人材採用や育成にお悩みの読者様へコツを解説する本コラム。 『優秀人材を探す方法と採用のポイント』の3つ目となる今回は、 求人募集をかける前に明確化しておくべき事項について解説します。

〝求める優秀人材〞を採用するために必要な4つの事項

①採用方法の使い分けとパートナーの選び方

②社内採用担当者の決定とターゲット人材の明確化

③組織図とジョブディスクリプションの準備

④優秀人材を口説くためのアピールと魅力付け

曖昧な募集要項が招く ミスマッチ

今回は、③組織図とジョブデ ィスクリプション(職務内容書)の準備についてお話します。
求人募集をかけるにあたり、人事や採用担当者、直属の上司となる部門長たちと組織図 を描いた上で募集要項を明文化し、採用したい人物像、任せたい仕事内容の詳細について共通の認識を持ち合わせていれば心配はありません。
しかし実際は、従業員が退職すると言い出して慌てて人事担当者に後任募集の指示を出 し、以前使った人材紹介会社に連絡して、求人の要件のみを伝えて面接する流れになりがちです。具体的な要項がないためになかなか欲しい人材が上がってこず、痺れを切らした日本人社長が日系の紹介会社に連絡するパターンも多く見られます。
タイ人は日本人よりも仕事の範囲と役割分担を明確にしたがり、給与はそれに対する報 酬として捉えています。担当範囲以上の仕事が求められた場合は昇給を望んだり、ボーナスなどで評価を求める人もいます。求職者との面談で過去勤務先の退職理由を聞くと、「通訳として入社したのに、秘書の仕事も手伝わなければならなくなった」「経理として5万バーツでオファーを受けたが、入社後総務の仕事も任せられたので6万バーツに昇給してほしいと社長に掛け合ったが、話が折り合わず退職した」など、仕事の内容や担当範囲に関する相互認識が曖昧なまま入社し、実務の中でその差が浮き彫りとなり転職する方が非常に多いことに驚きます。

相互認識を高めるために

採用したいと思う求職者が現れたら、面接の中で自社の組織図を見せて、構成する人員の 仕事内容も含めて、年齢、性別、性格などの情報を共有した上で、やってもらいたい仕事内容を説明しましょう。各社マネジメントスタイルや仕事の進め方も異なるので、チームのタイ人スタッフにも面接に入ってもらいながら相互理解を図る必要があります。
求人企業と求職者の面接終了後は両者からフィードバックを取りますが、事業内容や他社 との違い、特徴、会社の組織構成、仕事内容などを、資料を見せたりしながら細かく説明した企業には、求職者から前向きな返事が得られます。逆に求職者へ質問するばかりで、会社や仕事内容に関する説明がない場合は、印象が薄く、優秀な人材ほど他社に取られてしまうことが多く、また、求職者が仕事内容を一方的に解釈してしまった結果、入社後に誤解に気付き、退職してしまうケースもあります。
細かい組織図やジョブディスクリプションの作成、説明は骨が折れる作業ですが、優秀な人材を採用し、長期的に活躍してもらうために必要なプロセスとして取り組んでいただければと思います。
(次回は7月号に掲載されます)

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下川 ゆう yu shimokawa
en world Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
日系チーム チーム・マネージャー
立教大学卒業。大手人材紹介会社の東京本社で経験後、2009年に来タイ。以来、在タイ日系企業への人材紹介に従事。顧客企業の組織発展のための採用支援を得意とし尽力している。

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