京都銀行 、第2回となる「バンコクビジネス交流会」を開催日本政府の政策目標と日系企業が目指す方向性とは

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京都銀行は2月19日、タイビジネスの最新情報紹介と、参加企業間の情報交換の場を提供することを目的に、第2回となる「バンコクビジネス交流会」を開催した。講師には在タイ日本国大使館の財務アタッシェ・山下直樹氏とチュラロンコン大学サシン経営管理大学院のエグゼクティブ・ディレクターで、同大学院サシン日本センター所長の藤岡資正氏を迎え、それぞれ「日タイ経済外交の方向性について」「タイビジネス成功の秘訣」と題して講演、約100名の在タイ日系企業関係者が聴講した。

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在タイ日本国大使館の山下直樹氏

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サシン日本センターの藤岡資正氏

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山下氏は佐渡島志郎駐タイ日本国大使が進める、産業の高付加価値化への協力、研究開発・人材育成への協力、質の高いインフラ整備への協力、ビジネス環境の改善、東部臨
海工業地帯における領事業務体制の強化―の「政策目標(5つの柱)」を紹介。
また鉄道、高炉製鉄所、ICT、宇宙インフラ、医療技術・機器など、日本の高度な技術をタイへ提供していくとした上で、「産業の高付加価値化、研究開発(R&D)を推進
していくにはタイ人エンジニアが不足している」と指摘。職業訓練や技能開発に関しては人材育成も支援していくと述べた。

急成長するアジアとその後の課題

藤岡氏は、日本の上場企業100社以上で海外売上比率が7割を超えており、「グローバル化とは選択ではなく、実際に起きていること」であるとし、その中でも日系企業の進出先のほとんどが、急成長中のアジアに集中していること。そして多くの事業で成功していることを説明。また、2020年には新興アジアがアメリカ、EU経済に追いつく見通しであると話した。
しかし、新興アジアの成長は資本や労働の物的投入量の急増によってもたらされているもので、日系企業の成功もその経済成長の恩恵であると指摘。技術進歩や生産性の向上が伴わなければ、やがて行き詰まることは必然で、新興アジアではその傾向があると分析する。ハイスピードで進行している少子高齢化も課題に挙げ、しかも日本よりGDPが低い状態、かつ制度的にも未整備の中で人口負担期を迎えることを示した。
このような社会的構造の課題を解決する処方箋として、全要素生産性(※)の向上を伴う生産性の増加が必要であり、時間のかかる大きな課題ではあるが、新興アジアの社会問題解決を〝スマートシティ〞に代表されるような産業と結び付けていくことが、日本企業が生き残る道であるとまとめた。

(※)全要素生産性…資本と労働の増加によらない生産の増加を比率で表したもの

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