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企業に求められるDX-東南アジアのデジタルハブ実現なるか

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DXアビーム

◎ 楽観シナリオ予測
タイは2036年に他国より早い段階で社会・産業がデジタル変容を成し遂げ、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)を中心に東南アジア域内でデジタルハブの地位を確立する。例えば、デジタルハブの象徴となるバンコクは、文化・流行の発信地となり、海外を含む域外から労働者(主にインテリジェンスワーカー)や観光客が集まり、経済が活性化、人や投資の流入が経済成長を牽引する正のスパイラルが作られ、持続的な経済成長を実現して先進国の仲間入りを果たす。 デジタル化の進展によって、人は働く場所に縛られることなく好きな所で生活基盤をも持つことができるため、経済、文化、観光などの魅力あるタイに住みたい人が生活の拠点を移して、消費などの経済活動からタイの経済発展を下支えするだけでなく、人と人が集まることによる、新たなイノベーションを生み出す国となる。

× 悲観シナリオ予測
デジタル化の波に乗り遅れた場合は、製造業の生産機能が労働集約的な状況から抜けることができず、コスト優位性の観点から日本や欧米企業は生産拠点を他国へ移転させるケースが増える。その結果、製造業はレガシー産業と見做されて、タイ経済の成長に大きな影を落とす。 低経済成長及びデジタル後進国であるタイは、周辺国に遅れを取りアジアで優等生としての地位を失う。豊かさを求めて他国へ人材流出して経済の担い手が減り、経済が負のスパイラルに陥り国力の低下を招く。

【予測シナリオ】分岐点は製造業のDX化の成否
タイの社会や産業がデジタル化の波に乗れるか判断する分岐点は、まずは主要産業である製造業がデジタルの進化に適合できるかに関わってくる。具体的には、高度なセンシング技術から取得されるビックデータを6Gレベルの帯域・スピードで取扱い、量子コンピューティングから人と協業する高度なスマート工場の集積地帯を作る。タイが製造業の生産拠点として付加価値を持ち、タイ経済を牽引できるか問われている。

タイが20年後にデジタル化の進化や影響を受けてどのような社会を実現しているのか、楽観シナリオ・悲観シナリオの両面から考察してみた。

シナリオの中で使うデジタル化とは、テクノロジーの進化で社会構造が非連続に変容(パラダイムシフト)し、人々の価値観やライフスタイルが再定義されることを意味する。

これらはタイの主力産業である製造業を想定したシナリオだが、他の産業も他人事ではなく、デジタル化の波をどう捉えるか企業にとっては避けられない命題である。

企業に求められる行動変容をDX(Digital transformation)の観点から、アビームのフレームワークを活用して説明をする。

企業が実現すべきDXとは何か

経済産業省は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。

アビームは、このDXを実現するために必要なトランスフォーメーションを4つの領域に定義した。企業は実現したいシナリオを各領域を起点に整理・融合させて、目指す姿のゴール設定をすることが求められる。

4つのDX実現シナリオ

【SX】Social Transformation
「まち」や「地球」で発生する様々な 社会課題と企業価値の融合

不確実性が高まる環境下で、企業が「持続可能性」を重視し、企業の稼ぐ力とESG(環境・社会・ガバナンス)の両立を図り、事業そのものが社会変革の一旦を担っている


【CX X】CX Transformation
企業が顧客に対して、デジタルを 活用して新しい価値を創出する

従来型の営業の豊富な経験・ノウハウと、インサイドセールス、デジタルマーケティングやBI等、最新テクノロジーの知見を統合。伝統的な対面の営業活動を科学的に改革し営業生産性を高めるだけでなく、実店舗も統合されたすべてのチャネルがデジタルプラットフォーム上で連携されており、顧客のライフタイムでの囲い込みができている


【EX】Enterprise Transformation
企業単体のオペレーションの デジタル化、DX人材・組織の改革

デジタル技術を活用してデータドリブン型のオペレーションの効率化・自働化や精度の向上を実現し、マニュアル業務をデジタルに置き換え、DX人材を高付加価値領域で活用できている


【VC X】Value Chain Transformation
自社に留まらずバリューチェーン全体のプレイヤーを 巻き込んで、顧客に対する新しい価値の創造

企業は顧客の価値観やニーズが多様化する中で、顧客の期待値に応えるために業界垂直のバリューチェーン全体のデジタル化を進めるだけでなく、業界の垣根を答えた水平統合型の企業間連携(データ/技術の連携含む)を進めて協業することで、顧客ニーズへ柔軟かつタイムリーに対応できている


これらの4つのDXシナリオを実現するためには、左記の5つのイネーブラー(企業がDXを推進するために必要な要素)の確立(レベル5を目指す)が必要になる。

アビームの実施したDX成熟度調査からもその必要性と、東南アジアの日系製造業の企業平均はレベル2に至っていないという現時点での課題が明らかになっている(図表2)。

東南アジアの日系製造業DX成熟度調査

レベル1・2では、企業内でDX施策がアイデア発想されているも全社的なDX戦略は不在、局所的な計画に着手されていることを示す。また、全社で目指すDXのビジョン・戦略ができても、その元で実行されていない状態。

企業が目指すべきは、企業横断的(グループ/他社との連携)に実行しており、Co-Creationを創造、また参画し継続的に競争力を維持するレベル5である。

タイでも企業のDX化を中心に社会インフラとしてデジタルが定着し始めている。デジタル経済振興庁(DEPA)は、次の5つのカテゴリーから社会のデジタル化をモニタリングし、年次で達成度合いを発表している(図表3)。

タイの2020年のデジタル化推進率 

2021年は、①Develop digital and manpowerの日常生活にデジタルを活用する市民(+230%)や、③Support social developmentの新しいテクノロジーを活用した街づくりを進める自治体の数(+420%)は大きく伸長している。

DEPAの描いているタイのデジタル化進展だけでなく、タイがデジタルハブとなるためにも、DXシナリオそれぞれの実現イメージとそれぞれをどう融合、ステップアップしていくかのロードマップを作成し、それらを実現していくための5つのイネーブラーを高めていく必要がある。


ABeam Consulting Co., Ltd.

URL:https://www.abeam.com/ 

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>ベトナム/ラオス/カンボジア将来予測


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