東南アジアのICTシステムとネットワークを支える、古河タイランドの新事業

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古河電工グループ製品の販売を担うFURUKAWA (THAILAND) CO., LTD(FTC)は、東南アジア諸国の同グループ会社をはじめ日系・現地企業に向け、素材技術を生かしたソリューションを提供する「システム・インテグレーション(SI)事業部」と「LANソリューション事業部」を新たに設立。
各事業部を取り仕切る、橋本政樹氏と谷田部 浩氏に話を伺った。

ABOUT FTC 古河電工グループとは
1884年創業の古河電工グループは、電線・非鉄金属、情報通信、エレクトロニクス、新素材、自動車分野などの素材技術を強みにアジア、ヨーロッパ、南北アメリカなど世界各地でビジネスを展開。2012年以降は、日本国内と海外を合わせ約140以上あるグループ会社が一丸となって成長を目指す‶One Furukawa”をスローガンに、グローバル経営を強化させている。
同グループ海外拠点の約半数は、中国や台湾をはじめアジアに集中している。タイでグループのエレクトロニクス関連商品や自動車部品などの販売を行うFTCでは13年、古河電工から独立した情報子会社である古河インフォメーション・テクノロジー株式会社(FITEC)と現地パートナーとの連携で、ICTソリューションの企画提案・開発を行うシステム・インテグレーション(SI)事業部を、14年には同事業部のソリューションに必要なネットワークの設計・構築など、ハード面をカバーするLANソリューション事業部を設立した。

 

TALK THEME 1:自前の知識と確かな製品品質が強みタイをハブに東南アジア市場のニーズを掴む

SI事業部・橋本氏(以下部門名、敬称略):グループ会社のシステムインフラ構築や業務効率改善といったICTシステム支援に関し、以前は出張ベースで対応していましたが、現地支援による対応力強化、加えて東南アジア域内におけるグループ以外のビジネスの本格展開するため、FTCでSI事業部を設立しました。
私たちの強みは、まずユーザー系IT会社(製造業の情報子会社)である、FITEC の知見やノウハウを活用できることにあります。タイには独立系やベンダー系のIT会社がほかにも多く存在しますが、製造業のお客様に対する戦略立案から構築、運用までのトータルサポートは、生産現場の業務フローに精通し、販売、在庫、購買などの実務を熟知しているユーザー系の得意とするところです。

LANソリューション事業部・谷田部氏(以下部門名、敬称略):古河電工グループは、タイの情報通信分野において40年以上の歴史を持っています。
特にOSP(Outside Plant)の通信ネットワーク用のケーブル製造とその工事に注力しており、うち30年はインフラ―固定電話から携帯電話までの製造・敷設を行っていた実績がありますが、外の工事に特化しており、ビル内の配線、つまりデータセンターなどのビル内配線についてには今まで注力していなかったのが現状です。SI事業部の設立により、アプリケーションなどソフトの販売体制が整ったことで、橋本が持つ知識と、長年培ってきた古河電工の情報通信に関する製品製造技術の強みを生かし、データセンター市場へのソリューション提供を図るべく、LANソリューション事業部が設立されました。
東南アジアの主要6ヵ国、シンガポール・タイ・マレーシア・フィリピン・ベトナム・インドネシアにおける、データセンターの市場規模は年間約200億円、そのうちのタイ市場規模は約20%弱の需要と見ています。金融機関が集中している国ということもあり、最も大きな市場を持つのはシンガポールなのですが、当社では販売代理店は持っているものの、製造拠点がありません。片やタイには連結対象だけで約20社のグループ会社があり、情報通信の製品製造工場が集中しています。
サムットプラカーンに光ケーブルの工場、ミンブリーには約40年以上の実績を持つ工事部隊がおり、ビジネスの基盤となる下地がありました。
古河電工の事業は東南アジアでも知名度がありますが、データセンター市場においては活動実績がなく、まだこれからです。インフラ事業に代表される、当社のこれまでのケーブル単体販売では国の経済状況(キャリアの投資状況)などに左右されるため、安定的な売上、利益を生み出すことが厳しいという課題がありました。また、部材売りだけでは中国、韓国など他国の安値と比較され、日本企業としては苦戦を強いられます。南米・ブラジルのグループ会社、Furukawa Industrial S.A. Produtos Electricos (FISA)もLANソリューションビジネスにいち早く目を付け事業をスタート、中南米で約4割弱のシェア、ブラジルでは5〜6割のシェアを持つ企業へと成長しています。

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使用する製品はすべて古河ブランドで品質統一されている

FISAの武器は中南米における実績(ブランド力)と製品のラインナップ力、そして新たなアイデアを生み出す力です。グループ会社が一丸となる 〝 One Furukawa 〞の動きもあり、ブラジルで成功したビジネスモデルを、市場のある東南アジアへ持ち込むことにしました。単品売りからの脱却を図らないと利益は上がっていかないので、色々なものをインテグレートして打ち出していこうということがコンセプトにあります。
LANケーブルのマザー工場はブラジルにあり、主力製品はFISAが製造しています。そのほかの製品については中国、台湾などのOEM先で製造しており、パッケージを見れば一目瞭然ですが、品質管理・ブランドは統一し、すべて古河ブランドとして販売しているのも強みです。OEM先で製造されたものもすべて、きっちりと品質保証体制を確立しているので、お客様に安心していただける製品を提供できています。他社では複数社製造のものをまとめて納入するケースが多く、ほかと差別化できている大きなポイントと言えるでしょう。
自前のエンジニアがメンテナス対応するほか、去年の11月頃から代理店や敷設業者(インストーラー)に対し、新しいショールームで商品の取り扱い方法をトレーニングしています。

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LANソリューション事業部
ジェネラル・マネージャー 谷田部 浩

TALK THEME 2:ソフトとハードの協業で差別化他社にはないビジネスモデルでシェア拡大を

橋本:SI事業では業務システムのインテグレーションだけでなく、インフラやコンサルサービスを加えたパッケージソリューションを提供しています。LANソリューションの目指すところは、お客様が困ったとき、FTCに頼めばハードだけでなくソフトやアフターサービスも一緒に提供できる、というのが目標であり、他社との差別化になると思っています。

谷田部:タイ国内においては既に成功されている企業が数社おり、当社としては、同じような製品ラインナップを持っていても利益を創出することは極めて難しいと考えています。その打開策としてハードだけで戦うのではなく、ソフトと繋ぎ付加価値を大きく上げることで、競合他社にはないビジネスを生み出していくことができます。このニーズを掘り下げて、事業を拡大していきたいと思っています。

TALK THEME 3:現地グループ会社と代理店のネットワークを活用日系とローカル、双方の需要を取り込む

谷田部:タイでは観光庁に監視カメラの制御用システムを納入したばかりです。監視カメラを置いて、ケーブルを張り、データをサーバルームで集約するという製品で、今後もこういった市場を開拓していきたいと思っています。
LANソリューション事業は大きく、通信キャリアのデータセンター建設プロジェクトや、銀行など金融機関サーバの増設といった大型案件と、小回りを効かせていく小型案件の2タイプに分かれます。我々だけのリソースでそれらすべてをカバーするのは難しいため、前者のような大きなプロジェクトに関しては、自分たちで直接お客様へネットワークの設計・配線の組み方などまで提案していきます。後者のような小型案件に関しては、現地代理店に卸していき、彼らの持つネットワーク、ルートも活用しています。シンガポール、インドネシアにも既に当グループの販売代理代理店があるので、まずはタイを中心にビジネスを成功させ、段階的に東南アジアで展開していくつもりです。

橋本:SI事業部は既にタイ以外でもプロジェクトを進めています。会計、貿易、人材に関しては日本のノウハウが持ち込めない領域もあるため、ローカルルールが存在する事柄に関しては各国で対応しています。タイに次いでグループ会社の多いインドネシアにも拠点が出来たので、グループ会社のサポートを足掛かりに事業を拡大させていく予定です。
現時点では業務システムの構築・保守を行うビジネスソリューション事業のプロジェクトが中心です。業務的な課題や事業拡大による管理不足の改善、新事業の管理目的、既存システムの老朽化など業務システムの導入・更新のタイミングは様々です。日系企業の場合、日本本社が決定するケースもあり、日本のFITEC と連携をとって活動をしています。

谷田部:現地の公官庁はもちろん、日系企業に関しても、仕様などは現地で決めることがあります。そのため、お客様側のプロジェクト担当者もタイ人スタッフの方であることが多く、思い描いたプランを担当するタイ人スタッフと共有することを大事にしています。

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システム・インテグレーション事業部
ジェネラル・マネージャー 橋本政樹

ftcFTC内ショールームにあるサーバーラックとLANケーブルの見本

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FURUKAWA (THAILAND) CO., LTD.
No. 191 Silom Complex Building 16th Floor,
Unit 4, Silom Road, Kweng Silom,
Khet Bangrak, Bangkok 10500
TEL: 02-105-4061
Web: http://www.furukawa.co.th

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