中野陽介コラム

17【アート経済】「鳩を創る芸術家②」 (アメリカ / ニューヨーク)

17【アート経済】「鳩を創る芸術家②」 (アメリカ / ニューヨーク)

(1月号の続き)

ユニオンスクエアで活動する女性。週に何日くらいこうやって活動しているんだろう。「週3日で、11時から17時の間かしら」と、季節によるが平均週300ドルほど稼ぐらしい。他に仕事はしておらず、これで生計を立てていると付け加えた。

この仕事を始めたきっかけは、「小さい時からアートを作っていたのよね。自作のアートを路上で売ることができるようになるのが私の夢だったの。鳩とネズミが大好きだからこのアイディアを思いついたのよ」。

将来に対する不安や心配はないのだろうか。「特にないわね。それよりも次に何をやろうかということにいつもエキサイトしているわよ」と楽観的な答えが返ってきた。
お金より大切なものってナニ?と聞いてみると、「自分の幸せと家族、鳩を助けて守ってあげること、芸術、健康など、全てがお金より大切よ。ほんの一例だけど言い出したらキリがないわね」と独自の価値観を語る。

何か信じているものとかってある?と聞くと、「私はそうゆうものには関しては自然主義的な無神論者なの。愛とエネルギーの力は信じているわ。そして私たちが今ここに存在する理由は、人生という大舞台を通じて、私たち人間同士がお互いより良くなっていくことを学ぶためだということを信じているわ」。

路上デビューする。ただそれだけのことだが、そこまでの道のりは意外と長く、容易ではない。勇気がいる。確信がいる。路上で活動する人々の魂の中にはいつも強い意志がある。


中野陽介

芸術家。1987年福岡生まれ。07年渡米、Los Angeles City College卒業。数々の映画制作に参加後、芸術に目覚める。12年 渡タイ、バンコクで芸術家とサラリーマンの2足のわらじ生活を送る。16年に1年間で22ヵ国を巡る世界一周旅を敢行。自作の「芸術入門サイト」(art-geijutsu.com)は10万アクセス突破。作品や活動記録は下記サイト参照。
yosukenakano.com

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