レストラン・生活 2019.09月号

24 【音楽経済】「路上ギタリスト①」(イギリス/ロンドン)

 彼はギターの音色だけで通行人を魅了する路上ミュージシャン。かなりの腕前で、楽しそうだし、身体も揺らしながらノッテいる。そんな才能を通行人は放っておけない。瞬く間に人の輪ができて、人が人を呼んでロンドンのトラファルガー広場の一角は、あっという間に彼の単独ステージになった。

音楽はもちろんのこと、髪型やファッションも個性的だったので、話を聞いてみた。夏は週6日、冬は週3日路上ライブをし、残りは家で歌詞や原稿を書いているという。

 「どれくらい稼ぐの?」「お金については話したことないよ。路上パフォーマーたちのルールさ。でも生活するには十分なくらい稼いでいるよ」「他に仕事はなにかしてる?」「してない。音楽が僕の仕事さ」。

「なんで路上演奏を始めたの?」「昔オフィスで働いていたんだけど、あまりにもつらくて虚しくなったから路上で音楽パフォーマンスを始めたんだ。音楽は昔から大好きだったし、路上演奏がみんなに音楽を聴いてらえる最高の方法だと気づいたんだ。路上演奏ってのは、老若男女ジャンルを超えてすべての人が新しい音楽に偶然出会うことができる。パブリック空間だからこそ体験できる人生の美しさのひとつだからね」と幸せそうに語る。


中野陽介

1987年福岡生まれ。19歳で渡米、Los Angeles City College卒業。23歳で岡本太郎著「今日の芸術」で芸術使命に目覚める。24歳で渡タイ、バンコクでサラリーマンと芸術家の2足のわらじ生活を3年間送る。28歳で1年間に22ヵ国を巡る世界一周旅を敢行。その後、路上ワークの研究を始め、現在、平日はサラリーマン、休日は路上ワーカーという生活を送っている。「路上ワークの幸福論」発売中。
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