中野陽介コラム

25 【音楽経済】「路上ギタリスト②」(イギリス/ロンドン)

(9月号の続き)

将来に対して不安はないのかと尋ねると、「ないね。将来なんてどうなるかわからない。できることは、いま、今日、一生懸命働いて、サイコウにクールな自分になれるように願うことのみさ」。

「お金より大切なものってなに?」「お金は大切じゃないよ。ライフ(人生、人、元気)が大切だよ。気持ちがいい、楽しいという気持ちが大切だよ。笑顔が大切だよ。お金はあなたが生きるのを助けてくれるだけ、でもだからこそ僕たちはその大切なものを得ることができるんだよ」。

「あなたにとって神様とか信じているものってなに?」「何を信じているか……わからないけど、僕がここに居る理由がなんであれ、眼が覚めた時に地球上に生まれたことに感謝してるよ。良い人になろうとすること、他人を傷つけないこと、毎日誰かをステキな気持ちにさせたりハッピーにさせるナニカを作ること、などは僕が意識していることだね。僕にはわからないけどもし神様がいるのなら、このような人生を生きるチャンスを与えてくれたということは信じられる」。

彼は「路上の幸」を自覚していた。


中野陽介

1987年福岡生まれ。19歳で渡米、Los Angeles City College卒業。23歳で岡本太郎著「今日の芸術」で芸術使命に目覚める。24歳で渡タイ、バンコクでサラリーマンと芸術家の2足のわらじ生活を3年間送る。28歳で1年間に22ヵ国を巡る世界一周旅を敢行。その後、路上ワークの研究を始め、現在、平日はサラリーマン、休日は路上ワーカーという生活を送っている。「路上ワークの幸福論」発売中。
yosukenakano.com

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