2015.01月号

『健康×職場』環境改善で人もビジネスも変わる! Happy Workplaceへの道

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タイで事業を展開する上で、職場におけるヘルスプロモーションはどのような意味を持つのか。
タイ政府の専門機関Thai Health Promotion Foundation(通称:タイヘルス)が10年かけて推進している、職場における健康づくりプログラム「Happy Workplace Program」を中心に、タイならではの取り組みや成功事例について、世界のトレンドも織り交ぜながら大和茂氏がレポート。
2015年最初の回は、健康的で快適な職場づくりに多面的に取り組んでいるROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.の事例を紹介。
心身ともに『健康』な従業員と組織を作るための、企業間コラボレーションにも注目したい。

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Happy Workplace Programとは?

タバコ及び酒の特別税を財源に、タイ国民の健康増進や幸福度向上に関わる様々な施策を、企業や大学などと推進するタイ政府の専門機関タイヘルスが開発した職場健康づくりプログラムの総称。
「Happy 8」と呼ばれる8つの項目から構成されており、8つの多面的なアプローチを通して、従業員の身体的・精神的な健康増進及び幸福度向上を実現させ、従業員の定着率向上や信頼関係構築を目指している。

第5回目のテーマは『Well-Being(ウェルビーイング)』。この言葉の歴史は、1946年に米国ニューヨーク国連にて61ヵ国の代表により署名された世界保健機関(WHO)憲
章において、左記の通り『健康』の定義に用いられたことから始まりました。
「健康とは身体的・精神的及び社会的に良好な状態(Well-Being)であって、単に病気ではないとか、虚弱ではないということではない」。
昨今、この『Well-Being』という概念は、欧米に加え、日本やタイにおいてもさまざまな環境で、人々のより良い健康づくりを推進していく上でのキーワードとなっています。本コラムの切り口である『職場』においても、従業員の健康増進や快適な職場を実現する上で『Well-Being』を意識した職場環境づくりは、とても重要となってきます。

従業員の健康は、快適な職場から

それでは、どのような方法で職場における『Well-Being』を実現することができるのでしょうか。この『Well-Being』の実現には、一面的な取り組みではなく多面的に従業員
や職場環境を捉え、経営陣のリーダーシップの下、従業員と共に会社全体の取り組みを継続的に進めていくことが重要です。さらに、この概念に基づいて確立されたフレームワ
ークや職場健康づくりの専門家によるサポートを活用することで、実現は十分に可能です。

肥満従業員を減らすため保険会社も協力

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社員食堂のシェフ向けトレーニング

2015年最初の回は、健康的で快適な職場づくりに多面的に取り組んでいるROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.の事例を紹介します。同社は松井 克哲副社長のリーダーシップの下、タイ人Hasana Salimee人事課長などが中心となり、約3500名の従業員の健康増進とより快適な職場づくりを目指し、タイヘルスが開発したHappy Workplace Programを活用しながら様々な挑戦をし続けています。
とりわけ『食を通した健康』に着目した従業員と社員食堂シェフの意識改革に力を入れており、2015年は食生活の改善を軸に、肥満および肥満予備軍の従業員が健康になることを目標に掲げています。この目標達成のためには多くの従業員が毎日食事をする社員食堂が担う役割が大きく、作る側(シェフ)と食べる側(従業員)の両方に向けた健康教育の実施が必須です。この健康教育は、タイの大手保険会社タイライフが提供している付加価値サービスの一つで、企業と保険会社が協力して健康的な従業員を増やすための取り組みを実施するという新しいモデルとして注目されています。

心と身体の健康を意識した環境づくり

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食育レクチャーを真剣に聞く従業員

また同社は、健康教育をはじめとしたソフト面に加え、ハードの面からも健康的で快適な職場づくりを推進しています。ナワナコン工業団地の敷地内にある工場はセキュリティーゲートを入ると、緑に囲まれ太陽光が燦々と差し込むガラス張りのオフィス棟が目に入ります。さらに、社員食堂はもちろんのこと、開放感のあるリラックススペースやライブラリーからも常に多くの緑を感じることができ、休憩時間を最大限に活用できる環境づくりがなされています。
特にリラックススペースに隣接する社内コンビニエンスストアは、多くの従業員が利用することもあり、新年から『ヘルスステーション』を新たに設置。主に在タイ日系企業のヘ
ルシー商品(緑茶、健康飲料、米菓など)を販売すると同時に、自由に使える体重計や血圧計も用意され、従業員の『健康意識』を高めていく仕組み作りがなされています。
松井副社長に新年の抱負を聞いたところ、「昨年後半からスタートした従業員と社員食堂シェフの健康に関する意識改革を継続していきたい。そしてヘルスステーションをはじめ、食による健康に精通した在タイ日系保険会社・食品会社・健康機器メーカーなどともコラボレーションしながら、従業員が健康に関する意識を持ち、心身ともに健康に働ける職場づくりを実現したい」とのことでした。職場健康づくり専門家である私も、同社のさらなるHappy Workplace実現に向け、タイの産学官を巻き込みつつ、積極的にサポー
トしてまいります。

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緑に囲まれたリラックススペースで憩う従業員

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松井副社長とHasana人事課長@ヘルスステーション

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大和 茂 Shigeru Yamato
Thai Health Promotion Foundation
Happy Workplace International Project
ディレクター

1978年生まれ。株式会社NTTドコモを経て、タイにMarimo5 Co., Ltd.を設立すると同時に、タイヘルス公式プロジェクト責任者に就任。2007年から約5年駐在員として働く一方で、チュラローンコン大学労働経済学修 士課程修了。帰任後は、ICTヘルスケア事業の海外展開等に従事。 健康的な職場と企業成長の関係性を研究すべく、早稲田大学スポーツ科学研究科博士課程在籍中。

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