リピーターの増加から、まだまだ訪日旅行への期待値は高いが、H.I.S.のタイ法人団体営業部では、既に新たなディスティネーションに注目しているという。
2016年の旅行トレンド予測について、旅行業界の第一線に立つ３人にお話いただいた。
聞く！ ズバリ、2016年の旅行トレンド予測は？
ナッパパット・ラーシリティラグン（敬称略、以下ナッパパット）：来年２月から３月にかけてお問い合わせが増えているのは、イタリアやドイツなどヨーロッパ方面です。2016年、タイ人にとって新ディスティネーションとなるのはヨーロッパだと予測します。歴史の重みを感じるロマンチックな建造物や街並み、一流メゾンでのショッピングなどを魅力に、一部のタイ企業・団体ではヨーロッパ旅行の人気が上昇中です。
ガモンマーン・ブントーン（敬称略、以下ガモンマーン）：タイではサッカーの欧州リーグ人気が高く、この流行がイタリアやスペインの注目度も上げています。渡航ビザに関しても、多くのヨーロッパ諸国が加盟しているシェンゲンビザ（※）で快適になりました。
ナッパパット：常夏の国で暮らすタイ人にとって、夏の暑いヨーロッパは魅力が半減してまいます。むしろ、平均気温がマイナスになる真冬のフィンランドが人気なほどです。
寒さを体感することに意義があるため、年始から５月頃で一旦ピークは落ち着き、秋頃からまたハイシーズンに入ります。
※シェンゲン協定…アムステルダム条約でＥＵ（欧州連合）の法として組み込まれている。協定加盟国以外からの入国時のみ審査があるが、加盟国間の出入国は国内移動と同様に扱われる。ＥＵ加盟国でもアイルランドとイギリスは非加盟、ＥＵ非加盟国で加盟している国もある。
アートな街並みのドイツ・ロマンチック街道は間違いなくフォトジェニック
西岡 功二（敬称略、以下西岡）：H.I.S.はヨーロッパ28の都市や地域に日本人スタッフが常駐する支店を構え、お客様のニーズに対応できる体制を整えています。ここがタイ地場
の旅行代理店とも差別化できている点です。
極寒のフィンランドこそタイ人が求めるディスティネーションなのだ
聞く！ 訪日ブームは押されてしまうのでしょうか？
ガモンマーン：タイ人旅行客の中には洋風の食事が合わない方もいらっしゃり、費用やリピート率を比較しても訪日旅行の人気は根強いものがあります。
西岡：ヨーロッパはまだVIP、インセンティブ旅行での需要がメインです。一般の社員旅行含め、より快適で安全な旅を求める方が選ぶのは日本です。
ガモンマーン：日本は桜、紅葉、雪など季節ごとに異なる楽しみがあり、ほかのディスティネーションにはない魅力を持っています。
ナッパパット：初の訪日では東京や大阪へ、２回目は北海道へや九州と、各都道府県や地域ごとに異なる観光資源が訪日リピーターを増やしています。昨年タイで公開された映画『タイムライン』が佐賀県で撮影されたこと、LCCのジェットスターが福岡に就航したことが、九州人気を押し上げました。日本の地方都市を訪れるタイ人旅行客数は今年も好調に伸びると思います。
聞く！ H.I.S.で旅行するメリットは何でしょう？
西岡：団体旅行に関しては、単純でありきたりなコースではなく、例えば北海道で流氷を見に行く、静岡で茶摘みするなど、お客様にとって“Unseen”な体験が詰まったコースがご提案できることです。そしてその根幹にあるのは、“安心”あっての体験ということです。
法人旅行に関しても飛行機のチケットとホテルの予約であれば、お客様ご自身で簡単にインターネット予約できる時代です。これに現地での移動や会食先、Wi-Fiなど通信といったビジネスツールを、H.I.S.の専任担当者がアレンジしてワンストップサービスでご提供することで、お客様に価値を感じていただけると考えています。
タイ映画の撮影地に使われた佐賀県鹿島市の祐徳稲荷神社
バンコクからのご出張者が特に多い、ジャカルタ、ホーチミン、シンガポール、クアラルンプールには法人団体専任スタッフを配置しています。2016年、ASEANの結びつきがさらに深まり、「タイ＋１」の流れが加速に合わせ、ASEAN内を飛び回るビジネスパーソンの旅を支えるパートナーとして、現地での円滑なビジネスをサポートします。
回答者
左> ナッパパット・ラーシリティラグン：H.I.S. TOURS CO., LTD. 法人・団体営業部 セールス
中> 西岡 功二：H.I.S. TOURS CO., LTD. 法人団体営業部 支店長
右> ガモンマーン・ブントーン：H.I.S. TOURS CO., LTD. 法人・団体営業部 アウトバウンド事業部 セールス
