もう悩まない!人材採用&育成のコツを解説 Vol.26

今回は3回にわたって掲載する「サバイバル人材が持つ思考」の後編です。タイにて約10年間、様々な業界/職種経験のあるタイ人、日本人、欧米人を面接してきたコンサルタントの立場から、どの仕事においても重要なコミュニケーション能力について改めて考えてみたいと思います。どんな業界/職種でも、社内外で求められ会社の核となるサバイバル人材の態度や言動には、以下のような共通点が見られます。

サバイバル人材が持つ思考(後編)

1.実績から信頼を積み重ね結果にこだわる
2.相手の立場を考え、相手の求めるものや気持ちを想像し相手の目線に合わせる
3.当たり前のことを丁寧に迅速に着実に行う
4.言い訳や愚痴ではなく、問題解決策を常に考え、できることはすべてトライする
5.他人や会社から与えてもらうことを当然と思わず、まずは与える喜びを知っている
6.変化を恐れず勇気を持って行動する力がある

 スティーブン・R.コヴィーの「7つの習慣」の中に「愛とは動詞である。愛という気持ちは、愛という行動の結果にすぎない」という文があります。仕事において愛という言葉を使うには抵抗感を持つ方もいると思いますが、自分自身との対話も他者との対話においても「愛という行動」の上に自信や信頼が成り立つと思います。例えば、自信や信頼は自分を愛するためにできる限り結果を出す努力と結果の積み重ねが必要です。顧客、上司や同僚との関係構築において、相手の立場や気持ちに興味を持ち、想像し、相手の求めるものを提供するために行動した積み重ねがより深いニーズの理解につながります。

 当たり前のことを丁寧に迅速に着実に行うというのも、愛という行動の一種です。問い合わせやお客様からの依頼、電話やメールについても一件々素早く回答すること、回答や調査に時間がかかったとしてもその旨をまず伝える、進捗報告をするなど、丁寧かつ迅速に当たり前のことを着実に行うことは非常に大切なことです。

 面接で転職理由を確認する際に、注意して聞いておいたほうがいいことがあります。それは、「転職する前に社内の問題解決のために自らができることをすべて行動したかどうか」という点です。タイはまだ売り手市場なので、転職をすれば給与や役職が上がることが一般的で、転職が問題解決策になると楽観的に考える人が多いのですが、現職に不満がある場合転職が必ずしも解決策にはなりません。どの組織にも問題はあります。現職で問題にぶつかったときに他責し言い訳をするのではなく、問題解決策を考えて組織の中で働きかけ、できる限りトライをしたかどうかをしっかり聞くことをお勧めします。できる限りの行動をせずに転職した人は転職を繰り返します。また、企業で働く上で給与や手当をもらうことやトレーニングをしてもらうことを当然と思わず、まずは自分から与えることの喜びを知っている人、給与の数倍のパフォーマンスを出そうという気持ちで働いている人は組織の中で力を発揮しています。

 企業も個人も成長していく上では変化はつきもの。これからは働き方が大きく変化し、個人の力が求められます。特に経営者が右腕となりうる重要人物を探す際には、変化を恐れずに勇気をもってまずは行動するエネルギーがあるかどうかが重要なポイントになります。

 


下川ゆう yu shimokawa
en world Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
日系チーム チーム・マネージャー
立教大学卒業。大手人材紹介会社の東京本社で経験後、2009年に来タイ。以来、在タイ日系企業への人材紹介に従事。顧客企業の組織発展のための採用支援を得意とし尽力している。

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