ビジネス・経済 2017.02月号

時事通信 特派員リポート Vol.14 【タイ】「東部経済回廊」開発、スピード重視 =BOI長官に聞く(バンコク支局 近藤 泉)

時事通信とのインタビューに応じるタイ投資促進委員会(BOI)のヒランヤ長官(1月18日、バンコクで)

産業高度化のカギを握る政策として、タイ政府が最優先で取り組んでいる「東武経済回廊(EEC)」の開発計画。チャチュンサオ、チョンブリ、ラヨンの東部3県にハイテク産業中心の経済特区を整備する事業には、2021年までに6000億バーツ(約1兆9000億円)超が注入される見通しだ。開発を進めるに当たっての基本方針について、投資促進委員会(BOI)のヒランヤ長官に聞いた。

既存インフラを活用

EEC開発では、バンコクーラヨン間の高速鉄道(事業費1500億バーツ)、ウタパオ空港拡張(1000億バーツ)など、大規模なインフラ整備が進められる。ヒランヤ長官は「EECはゼロからスタートするわけではない。既に整備されている(工業団地などが集積する)イースタンシーボードの施設を活用することで、少ない時 間、投資額で整備できる」と指摘する。

タイ政府はEEC開発を加速するため、国家平和秩序評議会(NCPO)議長のプラユット首相に超法規的な権限行使を認める暫定憲法44条の発動を決めた。EECの関連法案は既に立法議会で審議されているが、ヒランヤ長官は、「法案が通過・成立するまで時間がかかる。その間も事業を前に進めたい」と強調。わずかな期間でも計画を停滞させたくないとの強い意志をのぞかせた。

プラユット首相は44条を発動し、BOI長官や関係省庁の次官クラスで構成する「EEC開発管理委員会」を設置。同管理委は特区内の工業団地整備、投資優遇措置の策定やその付与基準の策定などに当たるほか、特区周辺の住民対策、財源の手当てなども検討する。同管理委は特別法成立後、常設機関の「EEC事務局」に衣替えする見込みだ。

日米欧中企業を優先か

タイで事業する場合、工場の建設許可や環境影響調査の報告など、さまざまな政府機関への申請・報告を求められる。ヒランヤ長官は、「EEC事務局には複数の関連機関のスタッフを常駐させ、必要な許可を1カ所で行える権限を与える」と述べ、「ワンストップ窓口」として事務局を活用する考えを示した。

タイ政府は「次世代自動車」「航空宇宙」「産業用ロボット」など、10業種を特定地域にクラスターとして集積させる投資奨励策を進めており、EECが整備される東部3県には「次世代自動車」「電子機器」「石油化学」などの業種を誘致する。これらの誘致企業には法人所得税8年間免除の投資恩典が与えられるが、「特に高度な技術・知識を有し、経済への効果が大きい」(ヒランヤ長官)企業には免除期間が最大13年間に拡大される。

EECへの誘致を進めるに当たり、タイ政府は特定の国・地域の企業を優先する方針だ。ヒランヤ長官は「日本は自動車や電気・電子などの分野で投資実績があり、重要なターゲットだ」と指摘。さらに、「航空産業や医療機器に強い欧州や米国の企業、最近急速に投資額を膨らませている中国企業なども対象となる」と述べ、それぞれの国・地域が得意とする業種・分野を優先的に誘致する考えを示した。

※この記事は時事通信社の提供によるものです。
(2017年1月24日記事)

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