2016.05月号

時事通信 特派員リポート

Vol. 05 【中国】熊本地震、隣国へも影響?=当局が異例の記者会見(中国総局 大場尚文)

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熊本県などを襲った大地震が 隣国中国で関心を集めている。 メディアでは「熊本熊」(くまモン)の故郷などと紹介されているが、3月以降、周辺国で地震が頻発していることも理由の一つだ。地震観測や研究を担う中国地震台ネットワークセンターは 「(中国への波及に対する)過度の心配は必要ない」と、国民の不安解消に異例の記者会見を開いた。中国自体も西部を中心にたびたび大きな被害を出している地震国。熊本や、続いて 大地震に見舞われた南米エクアドルの経験を基に、国民の防災意識を高めようという当局の意図も見て取れる。

北京でもかつてM8

同センターによると、アジアでは▽3月2日インドネシア、 マグニチュード(M)7.8▽4 月10日アフガニスタン、M7.1▽4月13日ミャンマー、M7.2▽4月16日熊本、M7.3と中国を取り囲むように規模の大きい地震が発生した。 エクアドルを含めると、10日以降の8日間で大地震が4回連続したことになる。これに対し同センターの潘懐文主任は、 似たような状況は1900年以降、世界で37回あり、うち3カ月以内に中国でM7クラスが起きたのは3回にすぎないと指摘。「(中国での地震を)短期的に予測する明確な意義はない」と、直接の関連性を否定した。
ただ、潘主任は「周辺の地殻構造の激しい活動は大陸内部の応力の蓄積に影響する可能性がある」との認識を示し、世界的な現在の状況は20世紀前半に似ているとして「M8クラス以上の巨大地震は相対的に活発な時期に入っている」とも述べた。

「小康社会」のかぎ

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中国四川省都江堰市の大地震被災地(2008年6月29日撮影)。左端は視察に訪れた当時のライス米国務長官 (AFP=時事)

中国西部には雲南から四川、甘粛、内モンゴルへと大陸を南北に延びる地震帯があり、2008年には死者・行方不明者8万7000人を出した四川大地震が起きている。14年にも雲南省で600人以上が死亡する地震があり、地震とは無縁のように高層マンションが立ち並ぶ北京の近郊でも、清代の1679年にM8クラスの巨大地震があったという。
中国での地震が大きな被害に結び付きやすい大きな要因が建物の耐震性の低さ。四川大地震で問題となった手抜き工事は論外として、特に経済発展の遅れた西部の山あいでは土などを材料にした粗末な家が多く、 経済的な問題から耐震化が進まないのが現状だ。
熊本地震では多くの古い家屋が倒壊したが、中国でも耐震建築の普及は被害減少のかぎとなる。潘主任は「建築物が十分な耐震性を備えているかは(地震対策の)非常に重要な要素だ」と強調。「100年前は国が貧しくても豊かでも巨大地震の被害は非常に深刻だった。現在、先進国では人的被害は明らかに低下したが、途上国では依然として重大な人的被害に直面している」と述べ、全面的な「小康社会」(ややゆとりのある社会)実現を目指す中国で、死傷者数を減らす取り組みの必要性を訴えた。

※この記事は時事通信社の提供によるものです。 (2016年4月22日記事)

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