ビジネス・経済 2020.05月号

【中国】新エネ車補助金、2年延長=中国、淘汰に遅れも(中国総局 小川耕一)

時事通信 特派員リポート vol.53 【中国】新エネ車補助金、2年延長=中国、淘汰に遅れも(中国総局 小川耕一)

中国政府は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車など「新エネルギー車(NEV)」に対する補助金を2年延長する方針を決めた。新型コロナウィルスの影響で景気が失速する中、低迷するNEV業界への強力な支援策になると期待される一方、競争力が弱く、補助金に依存する国内メーカーの淘汰が遅れる可能性もある。

深刻な販売不振

NEVの販売不振は深刻だ。昨年6月末の地方政府の補助金全廃と中央政府の補助金半減が響き、新車販売台数は翌7月から前年割れが続く。昨年通年では前年比4%減の121万台と初のマイナスを記録。今年3月は新型ウィルスの影響もあり、前年同月比53%減の5万3,000台(米テスラ含まず)にとどまった。

政府は、苦境に陥っている業界をてこ入れするため、年内の廃止を予定していた補助金の2年延長に加え、NEVの購入税免除の2年継続も決定。購入税の税率は10%で、免除に伴ってガソリン車などに対する価格競争力を保つことができる。

中国紙によると、国内EVメーカー・小鵬汽車の何小鵬董事長は「最近では最も明るい話だ」と評価した。同社は有力専業メーカーに数えられるが、それでも昨年の販売台数は1万6,600台と、目標の半分に届かなかった。現地生産を始めたテスラが販売を伸ばす一方、小鵬や蔚来汽車(NIO)、威馬汽車などの新興メーカーはいずれも苦戦を強いられている。

全国乗用車市場情報聯席会も補助金延長を「大きなボーナス」と表現。同会の崔東樹事務局長は中国紙に対し「自動車市場の持続可能な発展を後押しする」と強調した上で、今年のNEV販売台数は30%増の160万台に伸びるとの強気の予想を示した。今年の全体の販売台数は3年連続マイナスが確実視されている。

独自の支援策を打ち出す地方政府も出ている。トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車が揃って生産拠点を置く広東省広州市は、NEV購入に1万元(約15万4,000円)の補助金を支給するとしている。

外資との競争激化へ

中国政府はNEV普及を後押しするため、2009年に補助金制度を始めたものの、国内メーカーによる過度の依存が問題となり、20年末までに廃止する計画だった。航続距離の引き上げなど補助金支給の条件も厳しくしており、世界でも通用する性能やサービスを持ったメーカーへの脱皮を促してきた。

各社は2年間の「猶予期間」内に、コスト削減などの課題に取り組む一方、販売台数の大幅な上積みを図り、補助金に頼らない経営を目指すことになる。

ただ、先行きは不透明だ。専門家の沈承鵬氏は業界紙に対し、ガソリン車で値下げの動きが広がり、価格面での優位性が低下しているほか、原油安もNEVにとって逆風になると分析。EVの発火事故も消費者の購入意欲に水を差したと指摘した。さらに、テスラのほか、トヨタやフォルクスワーゲンなど外資系の合弁メーカーによる市場参入も本格化するとして、競争激化は必至との見通しを示している。

※この記事は時事通信社の提供によるものです(2020年4月15日)

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