ビジネス・経済 2020.06月号

【台湾】台湾、出口戦略そろり=新型コロナ、終息宣言にらみ(台北支局 佐々木 宏)

時事通信 特派員リポート vol.54 【台湾】台湾、出口戦略そろり=新型コロナ、終息宣言にらみ(台北支局 佐々木 宏)

台湾は、新型コロナウィルスの拡大が続き、緊急事態宣言を5月末まで延長した日本を尻目に、海外ルート以外の新規感染者を1ヵ月近くゼロに抑え込んでいる。こうした中、政府対策本部は、無観客で公式戦が行われてきたプロ野球について、1000人の入場制限を設けながらも観客を入れることを認めると発表。早ければ6月中にも見込まれる終息宣言をにらみ、出口戦略をそろりと始動させている。

海外ルート以外の感染、4月からゼロ

「感染対策を続けながら、生活をエンジョイしても良いフェーズになった」。対策本部トップの陳時中・衛生福利部長(日本の厚生労働相に相当)は5月6日、海外メディアを対象とした記者会見で、感染拡大を封じ込めてきた実績を強調すると同時に、日常生活の完全正常化に向けて制限を徐々に緩和する方針を示した。

8日時点の新型コロナ感染者は、死者6人を含め累計440人。新規感染者は4月13日以降、海外から戻った人や、遠洋航海訓練を終えた海軍軍艦で感染が確認された軍人らに限られる。台湾内での感染例はゼロの日が続く。

対策本部は野球観戦のほか、山小屋での宿泊を伴う登山活動に関しても解禁を発表。野球観戦は、入場制限を1ゲーム当たり2000人~2500人に順次緩和する考えも示した。政府主導の増産で、マスクやアルコール消毒液などが社会に行き渡っており、感染防止に留意しながら、スポーツや外食、旅行といった「心身の健康に有益な活動」(陳部長)を再開するよう社会に呼び掛けている。

段階的に生活正常化

対策本部は屋内外を問わず、人混みの多い場所への出入りを控えるよう呼び掛けてきたが、外出自体の自粛は特に求めてこなかった。しかし、台湾人の危機意識は極めて高く、自衛のため外出を控える動きが拡大。これが新型コロナの感染爆発を封じ込める原動力になった半面、経済活動の萎縮に繋がった。

今年1~3月期の実質GDP(域内総生産)速報値は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同期比1・54%増と、4四半期ぶりに1%台に低迷した。民間消費の落ち込みが主な要因だ。これにより、企業の一時帰休が急増し、雇用にも影響が広がっている。感染拡大を最低限に抑え込んだ台湾でさえ、新型コロナが経済に与える影響は甚大だ。

対策本部としては、人々の中にたまったストレスの爆発的な発散を避けるため、屋外活動を中心に再開を促してガス抜きをしつつ、コンサートや演劇といった屋内での文化活動も段階的に解禁するといった出口戦略を描いているようだ。経済面については、実質的にストップしている出入境を伴う海外とのビジネス交流も「適切な管理下で正常化を目指す」(陳部長)方針を打ち出した。

1月の総統選で再選を果たした蔡英文総統は、5月20日から2期目に突入する。感染症対策の優等生として国際社会の評価を高めた蔡政権はまず、終息宣言を経て経済回復という仕事に取り組むことになりそうだ。

※この記事は時事通信社の提供によるものです(2020年5月11日)

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