【連載第10回】LAMTIP PARTNERSの簡単!タイでの“かいけい” タイの税務調査について

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第10回 タイの税務調査について

税務調査のことをタイ語で「ガーントゥルワット(取り締まり)・ソープ(試みる)・パーシー(税)」といいます。今回は、タイの税務調査についての話をします。
タイの国税は、歳入局・物品税局・関税局の3つの管轄があり、その中でも一般的に関係が多い個人所得税や法人所得税及び付加価値税(VAT)を管轄するのは歳入局になります。歳入局は財務省の内局にあり、日本でいえば国税庁にあたります。
歳入局本局はパヤタイ地区にあり、いわゆる税務署はバンコクだけで30署もあります。弊社近く(アソーク)であれば、税務署名office No.13(アソーク駅前タイムズスクウェアビル内)、税務署名Office No.14(スクムビットソイ11)があり、近距離に2つも存在しています。日本と同じく、本店所在地の住所によって、管轄する税務署が決まります。私見ですが、雰囲気は一昔前の日本の税務署のような感じで、職員に相談することもできます。ただし、尋ねる人により意見はまちまち(日本も同じですが)で租税条約や海外取引に関する質問になると、明確な答えを得ることは税務署レベルでは厳しいと感じます。
日本と同じく税務申告内容や関連資料は電子データとして全国にオンライン化されており、年次比較により異常値や関税局、その他省庁による照合によりシステム的な選定が行われています。税務署内では、チーム制として担当する納税者の管理が義務付けられています。
また、年間の追徴額の目標額が定められており、調査においては結果(追徴課税)を求めてくる傾向にあります。
調査は大きく分けて、訪問による簡易調査、全税目を対象としたいわゆる一般的な税務調査、付加価値税だけといった特定の税目に関する調査、悪質な脱税が想定される査察調査となります。調査の遡及期間は一般的には過去2年であり、重加の対象となるものについては5年とされています。ただし、徴収権は10年となっており、その期間賦課決定する権限があります。
追徴課税によるペナルティー(図表参照)については最大200%と日本の40%に比べると大変大きなものになっています。なお、図表にある減免率とは、悪質な脱税の意図がなく、再発の可能性も低い、税務調査にも協力的な場合に減免が認められています。悪質な意図が無い場合でも、減免後で50%ですから大きな追徴額となります。また、延滞税もあり1ヵ月につき1.5%(年にすれば18%)になっています。
税務調査に不服がある場合、日本と同じく税務署に対し不服申立てをすることもできます。申立てが認められた場合、税務裁判所に訴えを起こすことになります。納税者が勝訴するケースも少なくありません。
毎月、源泉税や付加価値税の税務申告がある。ペナルティーによる加算税・延滞税の率が高い。税務職員による横暴な賦課決定もある。書類の保存方法も決められている。
タイでの税務に関する経理スタッフの慎重なまでの行動(しばしば時間の浪費にも感じる)はこういったところから必然的に来ているのでしょう。

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文 : 岩倉弘貴
Managing Director

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