知らなきゃ損する!タイビジネス法務

タイの消費者保護法制

タイの消費者保護法制

はじめに
今月号より、在タイ専門家によるビジネス法務の解説を担当させて頂くことになった。初回となる今回は、サービス、小売事業に関連する法令として、タイの消費者保護法制から、以下の3つを概説する。

1.消費者保護法
Consumer Protection Act

2.不公正契約法
Unfair Contract Act

3.直接販売法
Direct Sales and Marketing Act

消費者保護法というと、日本の「消費者契約法」を想起させるが、本法は「商品等の説明を受ける権利」、「商品等を自由に選択する権利」等を保護することに主眼が置かれており、むしろ日本の不当景品類及び不当表示防止法(景表法)に類似する法令であると言えよう。

本法で注意を要するのが、「広告面での消費者保護」を定める第22条である。本条を要約すると、「消費者にとって公正でない広告」を禁止するものであり、虚偽広告、誇大広告、優良誤認表示等が禁止されている。ただし、同条によれば、「はっきりと事実ではないことがわかる広告」は、例外的に禁止されないとされる。事例毎の判断にはなるが、例えば「画像はイメージであって、実際とは異なります」と明記されているような場合はこれに含まれうると解される。

1.消費者保護法
Consumer Protection Act

消費者保護法というと、日本の「消費者契約法」を想起させるが、本法は「商品等の説明を受ける権利」、「商品等を自由に選択する権利」等を保護することに主眼が置かれており、むしろ日本の不当景品類及び不当表示防止法(景表法)に類似する法令であると言えよう。

本法で注意を要するのが、「広告面での消費者保護」を定める第22条である。本条を要約すると、「消費者にとって公正でない広告」を禁止するものであり、虚偽広告、誇大広告、優良誤認表示等が禁止されている。ただし、同条によれば、「はっきりと事実ではないことがわかる広告」は、例外的に禁止されないとされる。事例毎の判断にはなるが、例えば「画像はイメージであって、実際とは異なります」と明記されているような場合はこれに含まれうると解される。

2.不公正契約法
Unfair Contract Act

消費者と事業者間の不公正な契約の効力を否定するもので、日本の「消費者契約法」に近い法令である。紙面の関係で詳述は避けるが、例えば第4条は、消費者との契約において損害賠償責任の全部又は一部を制限する条項などを無効としており、第6条は、消費者との契約において、瑕疵担保責任の全部又は一部を制限する条項を無効としている。

3.直接販売法
Direct Sales and Marketing Act

日本の特定商取引法に近い法律であり、一定の類型の取引(例えば隔地間取引等)における公平性を保護することに主眼が置かれている。

本法には、直接販売とダイレクトマーケティングという概念が存在する。「直接販売」とは、日本の「訪問販売」の概念に近く、消費者の住所や通常の事業地以外の場所(例えばセミナー会場)等において商品を販売する形態を意味する。「ダイレクトマーケティング」とは、遠隔地にいる消費者に通信手段等を用いてアクセスして商品を販売する形態を意味し、現行法下ではEC等の電子商取引も原則としてこれに含まれる(一定の電子商取引については勅令によって除外が予定されている)。

本法において、注意を要するのはクーリングオフの存在である。上述の直接販売及びダイレクトマーケティングの場合において、消費者は商品・サービス受取日から7日以内に解約の意思を示した文書を送付すれば、契約を破棄することができるとされており、事業者としては返品等の対応が必要になる。


GVA Law Office(Thailand) Co., Ltd.
代表弁護士 藤江 大輔

2009年京都大学法学部卒業。11年に京都大学法科大学院を修了後、同年司法試験に合格。司法研修後、GVA法律事務所に入所し、15年には教育系スタートアップ企業の執行役員に就任。16年にGVA法律事務所パートナーに就任し、現在は同所タイオフィスの代表を務める。

URL : https://gvalaw.jp/global/3361
Contact : info@gvathai.com

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