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知的財産経営in東南アジア 「下町ロケット」のあのシーン、会社で起こったらどうしますか?【第5回】|Masuvalley

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技術は素晴らしいが、それと特許の良し悪しは別問題なんです【Part 1】

皆さん、「下町ロケット」というドラマはもうご覧になりましたか? TBS系列で放映されていたド ラマで、2015年の民放ドラマでは最高視聴率を記録しました。本コラムでは、このドラマのシーンを織り交ぜながら、東南アジア域内で中小企業でも起こり得る知的財産権問題を紹介したいと思います。

下町ロケットの第二話で、佃社長(阿部寛)が初めて神谷弁護士(恵俊彰)と面談した際、神谷弁護士は「佃製作所の特許が良くなかった」と指摘しました。
それに対して、佃社長は「それはウチの技術がイマイチだったってことですか?」と返すのですが、神谷弁護士は「佃製作所の技術は素晴らしいが、それと特許の良し悪しは別問題なんです」と説明します。
皆さんはこのシーン、どう思われますか? これは技術者によくある誤解だと思います。「技術的に優れていること」と「良い特許であること」はイコールではない、ということを、神谷弁護士は言いたかったのです。これは、日本の技術者には意外と知られていないと思うのですが、権利意識の高いアメリカの技術者の中では広く知られていることです。
発明の捉え方(請求の範囲という権利を主張する部分の記載の仕方)によって、権利範囲は大きく変わってきます。たとえ登録された特許だとしても、特許の侵害発見が困難なケースや、特許や製品カバレッジが少ないケースは、特許としての価値を低くするでしょう。一方で、技術的に革新的でない発明であっても、上手く発明を捉えて権利化できれば、特許としての価値が高いものになることもあります。特に、欧米の技術者の中では、むしろ後者のような技術的に革新性がないものを広く取った特許を最大限活用して、実施料の収入を上げようというトレンドがあります。
技術が良ければ、良い特許になるとは限りません。次回はさらに具体的に、日本の企業が見落としがちな特許の穴について解説します。
(次回はArayZ8月号に掲載されます)

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執筆者:舛谷威志
東南アジア、日本、アメリカ、中国に拠点を持つMasuvalley and Partnerのオーナー兼パートナー。2004年にアメリカで起業した後、多国間にまたがる技術法務の現地事務所を各国に設立。現在、弁護士・弁理士は、日本人5名、アメリカ人5名、中国人・タイ人合わせて5名の、合計15名が所属。

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