2016.11月号

【連載第33回】但野和博のコンサルコラムサポート実録記

accounting porter

ラカン社編(第4回) 「次は実務フォロー」

~現地MD歴早10年の空川さん。本社経理サイドからの要求が増えてきたので、営業や統括業務に集中できるようにと弊社で財務諸表レビューを受けることになった。ある程度、現在の問題の要因も抽出できたところで、次は実務面でのフォローを案内するのだが

「それから、これは差異の検証とは直接関係ないかもしれませんが、倉庫管理会社で在庫計上する基準が異なっているのは、会計上望ましくないですね」。

「ええ、確かに同じような商品を卸しているのに、A社については加工進捗の完成度に拠らず、出荷納品したときの到着基準で計上し、B社では先方のリクエストもあって1ヵ月毎の進捗基準で計上しているので、計上基準について統一できていないのは事実です」。

「お客さんの要請ということで、確かに難しい調整かとは思います。売上計上基準と一致していることでギリギリ許容量なのかもしれませんので、次回はこの部分を含めてレビューしましょう。問題になるかどうかは金額の大きさにも拠りますからね」(※1)。

ここからが実務面のフォローで大事なところ。こちらから「現状のデータベースファイルの管理については話を伺ったとおり、営業部門中心で管理していて経理システムとは全く連動していませんね。そのため、個別の出入庫レベルまではトレースできず、重量単位で倉庫管理会社のデータと差異管理をしてデータを照合しているんですよね?」と、まずは空川さんに確認した事実認識を提示する。

すると、「そうです。そこはきっちり対応しているので、重量単位での内容分析が社内でのメインの位置付けです」と認識が返ってくる。
そこで、「ただそうなると、全体の在庫管理としては機能するとしても、価格が商品ごとに異なるため、正確な原価計算管理の役割を担うにはちょっと難しいですね。やはり最終的には経理・営業が連携した出入庫管理があるのが理想です。私たちの方でもなるべく月次単位で内容の説明が本社にできるようなフォローを今後も継続的にさせていただきますが、いかがでしょう?」とすかさず実務フォローの案内を入れる(※2)。

最終的には営業提案になってしまうのだが、やはり相手が困っていて、そして頼ってもらっている以上、“内容はこうでしたね。はい、おしまい”ということにしたくない性分である。もちろん決めるのはクライアントであり、今回の場合は空川さんである。

「それであれば、毎月本社にする実績報告で、その内容分析のサポートをしていただきたいのですが、可能ですか?」
「もちろんです!」と、これから継続的にサポートできることに意気を感じずにはいられない瞬間が訪れる。さて、どんなサポートになるのか…。(次号に続く)

※クライアント様の匿名性を保つために社名・人名等をはじめ、事実から離れすぎない程度の内容の変更等、脚色部分があります。

(※1)
外注先管理というのは結構疎かになりがちだ。特に外注先の会社にとっては依頼元の経理処理などは無関係だし、依頼元からの依頼であれば、指示通りに処理するのが彼らの仕事なので尚更である。とはいえ、今回のケースのように在庫計上まで委託しており、決算期末や四半期毎などの実地棚卸以外、外注先の倉庫管理会社の作成管理しているデータをそのまま使う場合は、特に留意が必要だ。最終的には受入側で適用している会計基準に準拠するための修正対応が迫られることもありえるので、外注管理規程などがあれば内容としても盛り込んでおきたいし、ない場合も外注先選定時の内部プロセスとして、計上方法などの確認を定めておくと良いだろう。
(※2)
どんな業務内容でも問題解決には事実認識の確認から始めるのが自然だ。Work DescriptionやWork Flowがあれば、そういったものから辿るし、ない場合はスタッフへのヒアリングなどが必要である。もちろん、ある程度業務内容などが分かるものが揃っていても、最終的にはスタッフへのヒアリングなどで事実関係やフローなどが正しく機能しているかを直接確認することが重要だ。
そのあとはどこに問題があるかを抽出し提示し、その後問題に対する解決策を提案する。いずれのステップにおいても、それなりの経験や知識が必要なのは言うまでもなく、事実認識の確認といっても意外と自社で簡単にできそうな事でも難しいことが多い。後日、大きな問題となってから回復を図るよりも、やはり第3者の観点から知見を有する専門家に見てもらった方が、結果的には時間もコストもセーブできることが多い。

accounting porter
Accounting Porter Co., Ltd.
代表者 : 但野和博
所在地 : 24 Prime Building, 12th Fl., Room No.A, Sukhumvit 21 Road (Asoke), Klongtoey-Nua, Wattana, Bangkok 10110
電話番号 : 02-661-7697
事業内容 : 記帳代行、経理コンサル、進出支援等、
顧客企業の事業の発展に寄与するサービス業
提携先 : 愛宕山総合会計事務所 /
日本 (代表 : 日本国公認会計士相川聡志)
E-mail : kazuhiro.tadano@aporter.co.th
http://aporter.co.th/

tadano
但野和博
2012年5月タイ・バンコクにて、Accounting Porter Co., Ltd.を設立。日系企業の進出サポート及び経理を中心としたバックオフィスサポートを提供するサービス業として、同社を運営中。
日本での上場事業会社2社通算6年のCFO経験を活かし、日本本社部門との直接の対応を含み、現場では管理部門の立て直しを含めた相談にも対応している。
本コラムでは、タイの経理現場で起きていることを中心に具体的なサポート実例を交えて執筆中。

gototop