2015.12月号

【最終回】徳谷智史のグローバルトップリーダーへの「秘訣」~

tokuya

【最終回】グローバルで活躍するトップリーダーであり続けるために

アジア・タイにおける経営層、リーダーの皆様にお伝えしてきた本連載もいよいよ今回で最終回。
本年もたくさんのクライアント企業の支援をさせて頂いたが、飛躍を続ける組織と、成長が鈍化する組織のトップには大きな違いがある。
連載の締めくくりとして、グローバルで活躍するトップリーダーであり続けるための要諦を考えよう―。

①「お山の大将」になるな

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「日本人は自分の考えとローカルスタッフの考えが違う場合、直ぐに否定する。否定されると、こちらは発言する気すら無くしてしまう」。
これはあるクライアント企業における、ローカルスタッフの声だ。第三者として社内のヒアリングをかけると、気付かぬうちにトップが「お山の大将」になっていることは非常に多い。
ある日系メーカーの例では、現場から何度も、製品トラブルや、従来と変わらないマーケティング手法に対する疑問の声があがっていた。
しかし、その声は軽視され続け、徐々に発信されなくなっていった。抜本的な手を打たずに放置を続けた結果、致命的な製品トラブルが発生。全回収となり、最終的には大損害を被った。
コンサルティング現場において、改善の芽やリスクの兆候というのは、後から振り返ると、前もって社内で発信されていたケースが多い。にもかかわらず、トップは分かっている〝つもり〞で気付いていない。
あなたは、都合の良い意見ばかりに耳を傾けていないだろうか。

②「タコツボ」に入るな

次に、多いのは、「タコツボ化」だ。
攻めやすいマーケットだけを捉え、日系企業、日系コミュニティのつきあいに閉じる。いわば、タコツボにはまるようなものだが、実はこの問題は根が深い。
背景には、駐在者がリスクを取らないことがある。自分は、〝期限付〞なので数年経てば日本に戻る。リスクを取って抜本的対策を打ち、もし失敗したら評価にキズが付く。
だからこそ、現状ありきでの改善に留まるわけだ。
某日系ショッピングモールは、日本と同じような施設形態でアジア市場に進出。しかし、現地の競合施設が、開放的なレイアウトや大胆なテナント構成などで攻勢を強める中、苦戦を強いられていた。これに対して、駐在担当者はリスクを取らず、揃って従来通りのやり方を維持。
抜本的な手を打つことはなく、業績は年々悪化し、撤退を余儀なくされた。
逆に、サムスンの担当者が現地にホネをうずめる覚悟でやって来るという話は有名だ。帰国の期限はなく、成果を出さない限り自分が帰る場所はない。〝片道切符〞だからこそ、本気でまず自分自身が現地化する。優れたリーダーは、居心地の良い狭いコミュニティに閉じることは決してない。

③成功をぶち壊す決断をせよ

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リーダーの最大の責任の1つとは、「決断」だ。大げさに言うと、これまでの成功をぶち壊す決断ができるか否か、が問われている。
アジア各国で成長を続けるユニクロ。暑い東南アジアでも冬物を提供し始めた際は疑問の声が相次いだが、現地の人のファッションニーズや旅行ニーズにマッチした。同社では現地の責任者が過去の成功に囚われず、各国別に新しい取り組みの決断をしては、きめ細かくPDCAを回し続けていると言われる。
飲食店も然り。海外においてはタコのないタコ焼き(!)を出す店舗や、日本式カレーにこだわらないカレー屋といった分かりやすいビジネスから、B to Bでもあえて日系の安定した取引を優先せず、現地マーケットに打って出ることで、従来のビジネスとは異なる次元で成長を遂げた企業もある。
そこに共通するのは、変化や失敗を恐れない本気度だ。目先の失敗に囚われず、成功するまでやり続けるという意志と覚悟である。
筆者もコンサルティングビジネス立上時には、ローカルスタッフの教育や、営業チャネルの構築など数多の苦労を要する中で試行錯誤しながらビジネスを構築していった。日本およびアジアでの展開が一定程度うまくいっても、またそこからは新たな課題が発生し、試行錯誤の連続だ。だからこそ、経営は面白い。
皆様は、これまでの成功に囚われず革新に向けた決断を行っているだろうか。

この連載では、グローバルリーダーの皆様に向けてメッセージを送ってきた。読者の皆様に改めて感謝したい。そして、今度は是非、経営の現場でお会いできれば幸いだ。

 

tokuya
徳谷 智史(とくや さとし)
エッグフォワード株式会社代表取締役。ASEANビジネス展開支援のエキスパート。
大手戦略コンサルティングファームにて、タイオフィス立上・代表就任後、独立し同社を設立。日本では教育事業を手掛けるほか、タイ・東南アジア諸国において、日系企業を中心にメーカー、外食、小売、IT、商社など100社以上の幅広い分野の成長支援、展開支援を行う。
東洋経済オンライン、アジア消費者ラボ等メディア掲載多数。
コンサルティング、講演等のご相談は下記まで。

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