2015.02月号

【連載第10回】徳谷智史のグローバルトップリーダーへの「秘訣」

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【第10回】企業戦略の「陽と陰」

2015年、皆様のビジネスは順調にスタートを切っているだろうか。前回の連載で反響の大きかったOKY(お前が・来て・やってみろ)問題に続き、今回は企業戦略の「陽と陰」について扱っていこう―。

「地上戦」の限界

まずは、最近のある日系メーカーA社の事例だ。A社は、ASEANの各現場で担当が商材別やエリア別での拡販を行い、業績は伸びていた。
しかし、最近になり大手の競合がA社の数倍の〝ヒトとカネ〞をある市場に一気に投下し、形成逆転に打って出た。現場の「地上戦」で戦っていたところ、性能の違う「高性能ミサイル」で攻撃されたようなインパクトだった。その結果、A社は現場での防戦もむなしく、シェアは低下し壊滅状態、自らが開拓した市場を奪われるという憂き目にあった。

戦略とは「陽と陰」を創ること

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競合大手のリソース集中投下に敗れる例は、A社に限った話ではなく、これまでアジアでは日系電機メーカー然り、食品メーカー然り、市場が成長するにつれて多く見られてきた例だ。特に日系企業ではなおさらである。
どんな企業であれリソースには制限がある。おしなべて均等にリソースを配分するようでは、どこのセグメントでも大きく勝つことはできない。どこに「陽」を当てるのか、逆に言えば、どこには陽を当てないのか、が問われる。戦略とは「陽と陰」を創ることに他ならない。
最近筆者が関わって業績が回復した事例の場合、ある日系家具メーカーは、広く薄くのBtoC向けから、特定エリアでのBtoB向けの内装加工に注力したことによって急成長を遂げた。ある日系食品メーカーもこれまでの販売チャネルやエリアへのリソース配分を、大きく見直したことで飛躍を遂げた。
多くのトップは、現状でもなまじ成長しているだけに、自ら大きな変化を起こすことができない。
しかし、陰を創る勇気なくしてこれまでを超える成長はない。現状のリソースの配分で見過ごしている「機会損失」にもトップは目を向けなくてはいけない。

当たるも八卦当たらぬも八卦 事業の場合

とはいえ、これは正論であり、事業によっては実際には当たるも八卦、当たらぬも八卦で読めないということは良くあることだ。例えばアプリやソーシャルゲームの世界では、正直どれがヒットするかと読み切れない。従って、ある程度「数を打つ」ことが大事だが、やみくもに下手な鉄砲を打つのではなく、初動(ゲームで言えばアクセス数、ダウンロード数、課金ユーザー数、ツイッターでの拡散数など)を見て、ヒットの兆しがあれば一気にそこにリソースを投下するのだ。こうしてチャンスを逃さず、確実に回収に繋げているのである。

「青写真」は共有されているか

ここまで論じてきたリソース配分の見直しにあたっては、必ず摩擦が伴う。ともすれば現状のやり方が特定部門の既得権益になっていることも多い。それでも改革を推し進めるためには、部分最適でなく、全体最適の観点から「青写真」を描き、トップダウンで落としていくことが不可欠だ。
個別積み上げではいつまでたっても総論賛成、各論反対になってしまう。
成長している時、例えれば、戦線が優位なうちにこそ、その先を見据えて大きな戦い方の絵を描けるか。皆様の組織においてもどこに陽を当て、どこを陰にするのか、というリソース配分を考えるきっかけにしていただければ幸いだ。

 

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徳谷 智史(とくや さとし)
エッグフォワード株式会社代表取締役。ASEANビジネス展開支援のエキスパート。
大手戦略コンサルティングファームにて、タイオフィス立上・代表就任後、独立し同社を設立。
日本では教育事業を手掛けるほか、タイ・東南アジア諸国において、日系企業を中心にメーカー、外食、小売、IT、商社など100社以上の幅広い分野の成長支援、展開支援を行う。
東洋経済オンライン、アジア消費者ラボ等メディア掲載多数。コンサルティング、講演等のご相談は下記まで。

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